2024年11月21日( 木 )

「令和6年能登半島地震」から1カ月(後)~輪島市川井町朝市通りの地震火災から~

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(株)アクロテリオン
代表取締役 下川 弘

 元日に能登半島北部で発生した地震は、家屋倒壊や広域津波などによる大きな被害・影響を与えたが、この地震にともなって火災も複数発生した。

 なかでも震度6強を観測した輪島市河井町朝市通り周辺で出火した火災では、多くの建物が消失した。この大規模火災は木造住宅の密集地域という地域特性と、当時風速10m/sを超えた強風であったという自然条件、そして飛び火にともなう同時多発的な延焼拡大によって、焼失棟数約300棟、焼失面積約5万800m2という甚大な被害となった.

 国土技術政策総合研究所の調査報告(1月4日の現地調査)によると、主な結論は下記の通りである。

(1)焼失区域の面積は約 5万800m2、区域内に含まれる建物の数は約 300 棟と推定される。 ただし、最終的な被害規模については、焼損面積(焼失区域面積とは異なる)および 焼損棟数が消防により確定される。 

(2)焼け止まりの最も大きな要因は離隔距離であったと考えられるが、一部、離隔距離が 小さい場合でも焼け止まりが確認された。消火活動の効果があった可能性があるが、 本調査では確認できていない。

(3)火の粉の消し炭は概ね焼失区域の北側で確認された。火災発生期間中は、比較的緩やかな南寄りの風が吹いていたものと推測される。

(4)本火災の延焼の速さは 20~40m/h 程度で、弱風時の市街地火災(地震火災)である 1995 年阪神淡路大震災における市街地火災と同程度、強風時の市街地火災である 2016年糸魚川市火災よりは遅かったと推測される。

 冬の北陸では、暖房器具はなくてはならない必需品である。時刻も夕方にさしかかり、夕食の支度も始められていた時間帯でもあった。多くの家庭・企業で石油ストーブやガスコンロなどの暖房器具が使われていたに違いない。

 そしてまた、地震火災ではないが、1月3日午後3時すぎ、北九州市小倉北区魚町1丁目の飲食店などが密集する「鳥町食堂街」の付近から火が出て、周辺の建物に燃え広がった。この鳥町食堂街を中心に合わせて35店舗、延べおよそ2,900m2が焼けた。幸いけが人は出なかったとのことだが、小倉北区では、2022年に旦過市場で2度の大規模火災が発生している。大火の反省と火災防止への取り組みはできなかったものだろうか。

写真:輪島市川井町朝市通りの火災 (Yahooニュースより)
写真:輪島市川井町朝市通りの火災
(Yahooニュースより)

    今後、首都直下型地震や南海トラフ地震なども想定されるなかで、それぞれの地域で「まち」として火を出さない取り組みや、地震火災・密集地火災を最小におさえる取り組み、そして具体的な「災害対策まちづくり」を考える必要があるのではないかと改めて感じた。

図:輪島市朝市通りで確認された焼失区域(国総研調査報告書より抜粋)
図:輪島市朝市通りで確認された焼失区域
(国総研調査報告書より抜粋)

(了)

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