生成AIがビジネスを根本から変える(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏チャットGPTは一番難しいとされる医師や弁護士の試験までパスして、その性能の凄さで周囲を驚かせている。チャットGPTはその後も勢いが止まらず、昨年3月14日にはGTP-4が出荷された。GTP-4はさらに性能がアップして、回答がもっと正確になり、記憶容量も増えてA4用紙50ページ分の内容を記憶できるようになっている。
このような状況下で、世界的なビックテック企業は、生成AIに会社の命運をかけて熾烈な闘いを繰り広げている。とくに、マイクロソフトは自社の検索エンジンであるBingにチャットGPTを搭載し、Googleが圧倒的な優位に立っていた検索市場に再チャレンジしている。それに自社の強みである業務用市場にも生成AIを搭載し、業務効率の改善を測ろうとしている。
このようなマイクロソフトの動きに驚いたのはGoogleである。検索市場を制覇したことで諸々のサービスが成り立っているGoogleとしては、自社のビジネスモデルが崩壊しかねないからだ。Googleだけでなく、アップル、エヌビディア、アマゾン、テスラも生成AI市場への参入を表明している。米国の企業だけでない。中国の企業も、米国企業に負けないくらいこの分野に積極的に投資をしている。
とくに、中国企業は人口が多く、膨大なデータが確保できることが利点とされている。韓国の企業も世界的なトレンドに遅れないように、数社がAIの独自領域に参入を表明しているが、米国企業や中国企業に比べると見劣りがするのは否めない。しかし、ラインの親会社であるネイバーは「ハイパークロバX」という大規模言語モデルのベターテスト(開発最終段階の実地試験版)を発表し、韓国語や韓国関連の情報が豊富であることで、チャットGPTと差別化を図ろうとしている。
生成AIにおいて、今後大きく3つの領域のビジネスが生き残れるだろうと言われている。1つは演算に必要なGPU、もう1つは大規模言語モデルをもっている会社、最後の1つはAIサービスを開発して提供する企業である。
プラグインでサービスを提供
プラグインとは、新しいサービスを提供するために、既存のソフトウェアに追加して使うソフトウェアのことをいう。コンセントに差し込むことで電気を使うように、新しいサービスを提供するのに、既存のソフトウェアを修正したりせず、追加して機能拡張をすることだ。もともと、携帯電話は電話、メッセージ、インタネット接続がメインの機能であった。
ところが、スマートフォンが登場し、新しい機能を使う際には、アプリをインストールしてクリックすることで新しいサービスを利用できるようになった。スマートフォン時代のアプリの役割をはたすがこのプラグインである。プラグインのアプリとの違いは何かというと、プラグインの場合、簡単に指示だけをしておくと、後の行動はAIがやる点である。
夜中にお腹がすいたときに、今までは出前アプリをクリックし、メニューを選び、お店を決めるため、どの店の評判が良いかを自分で全部調べていた。しかり、プラグインになると、自分の健康状態、摂取したカロリーの状況、好物などを考慮してAIがメニューを推薦してくれる。「推薦リストからよさそうなものを選んで注文し、決済も済ませてくれ」と頼むと後の行動はAIがしてくれる。
チャットGPTを活用してできる新しいサービスのプラグインが今後どんどん増えて行くと思われる。これからはどのようにAIエコシステムを築いていくのかが勝負になるだろう。
(つづく)
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