2024年11月05日( 火 )

広域な「再液状化」被害を発生させた能登半島地震

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 能登半島地震では、石川県だけでなく、富山県や新潟県の広い地域で地盤の液状化被害が発生した。その実態について、戸建住宅の地盤調査を行うジャパンホームシールド(株)(本社:東京都墨田区、勅使河原隆巳代表、以下JHS)が現地調査を行い、このほど調査結果を取りまとめた。それによると、過去の大規模地震で液状化した場所が、再び液状化する「再液状化」現象が各地で発生したことが分かった。

 今回の地震における液状化は、日本海沿岸部などの広いエリアで被害が発生。これについて、「地震の規模が大きかったこと、長周期地震動によるゆっくりとした揺れが遠方までエネルギーを失わずに伝わる震動だったことが理由と考えられる」としている。

 新潟市中央区川岸町では、信濃川の旧河道で液状化被害が多数発生。ここは「1964年の新潟地震の際に液状化現象が発生した有名な場所で、再液状化が発生したと考えられる。液状化は一度発生したら終わりではなく、条件がそろえば再度、液状化が発生することが確認された」としている。

 今回の地震で液状化被害を受けた北陸地域の地盤データから液状化判定を行ったところ、各エリアで液状化被害の可能性が高い判定が出ており、「液状化調査を行えば、事前に液状化被害の可能性を知ることができるとわかった」という。

 液状化被害は砂丘や堤間湿地、河道を造成した人工地盤で多かった。とくに被害の大きかった新潟県江南区は信濃川の旧河道に砂を盛土した地盤。盛土の地下水位が浅く、「砂+浅い地下水位」という液状化の発生条件が揃った場所だった。

 石川県内灘町では、液状化現象による「側方流動」が発生し、地割れ・地盤沈下・噴砂などの現象が広く確認された。砂丘を削った地盤で家屋の倒壊や側溝・マンホールの浮き上がりなどの被害があり、こちらも液状化の発生条件が揃ってしまった場所だったと指摘している。

 砂丘を切土した地盤で、地下水位が浅くなったことと、もともとあった砂の荷重がなくなったことで液状化現象が発生し、かつ傾斜地だったことから側方流動が発生したと分析している。

全国各地にリスクが存在

 JHSは「旧河道や砂丘などの人工地盤は全国各地に存在し、新設・造成の際は改めて液状化リスクを考慮する必要がある。また、震度や地形・地質などの条件の違いにより発生する現象は異なるため、「(それぞれの)地域がどんな地盤なのか、どんな被害が起きる可能性があるのかを知ることが重要」と指摘している。

 液状化の危険度を知る際、液状化マップにより各地域の概略をつかむことが有効。ただ、把握されていないエリアも存在するため、「それだけで液状化の可能性を判断するのは危険。液状化マップだけでなく、より詳細な地盤データがわかる液状化調査を行い、宅地ごとの液状化被害の可能性を知ること」を推奨している。

【田中 直輝】

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