不動産事業を強化する西日本新聞 収益源の多角化図る
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福岡市東区のアイランドシティに今年3月、九州最大規模となるマルチテナント型物流施設「T-LOGI福岡アイランドシティ」が竣工した。同施設は福岡市内への近距離配送や、九州全域への広域配送拠点、本州と九州をつなぐ配送の拠点として期待されている。
2021年度の福岡市によるアイランドシティ港湾関連用地の分譲公募により取得したものであり、敷地面積約1万1,890坪、延床面積4万4,880坪の6階建(6層ランプ構造)となっている。
施設は各階で接車が可能な利便性の高い施設であるとともに、多様な顧客ニーズに対応できる設計となっている。また、太陽光パネルの設置やZEB認証の取得など、環境への配慮を行っている点も特徴として挙げられる。
開発したのは、大手不動産会社の東京建物(株)と東急不動産(株)、大手商社の丸紅(株)、そして福岡の地元メディアである(株)西日本新聞社の4社である。
このうち西日本新聞社は、西日本新聞の4月5日付け4面に同物流施設に関する全面広告(下段は参画した名刺広告)を掲載した。同社が参画した事業であるから、「自社広告」といっても差し支えないだろう。
苦境にあるメディア事業
SNSなどの登場による情報発信の在り方の多様化から、新聞やテレビ、雑誌などの既存メディアの業績が低落傾向にある。それは西日本新聞社も同様。昨年3月末でスポーツ新聞「西日本スポーツ」が休刊(事実上の廃刊)し、Webに移行したのは、メディア事業が苦境にあることの象徴である。
そこで近年、積極的に注力しているのが不動産事業だ。たとえば、中央区大名の福岡大名ガーデンシティの開発事業(旧・大名小学校跡地活用事業)にも参画していた。
西日本新聞社を含む特定目的会社は昨年6月、開業したばかりのラグジュアリーホテル「ザ・リッツ・カールトン福岡」の信託受益権をカナダ系投資ファンド「ベントール・グリーンオーク」に売却。売却額は明らかにされていないが数百億円規模だったと見られる。
この結果、西日本新聞も相応の売却収益を得たものと想像されるが、T-LOGI福岡アイランドシティも同社が手がける不動産事業の1つであり、家賃収入などで収益を得ることを目的としたものだ。
西日本新聞社の不動産関連では元々、中央区天神の本社ビル「西日本新聞会館」と隣接する「エルガーラ」を中心に事業を行っていた。大手新聞各社も同様に不動産事業を積極化しており、事業の多角化で、生き残りを図ろうとしている。
【田中 直輝】
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