2024年11月05日( 火 )

IT技術を駆使した情報システムで物流を革新する

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福岡運輸(株)

 福岡運輸(株)は、物流・配送業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の革新的取り組みで、中小企業庁から2023年度の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」のDX部門に選定された。さらに、経済産業省が選定するDXセレクション2024の「優良事例企業」にも選出されるなど、その成果が社会的に高く評価されている。

 同社によるバース予約・受付システムは、ドライバーが荷物を積み下ろしする場所(バース)を事前に予約できるシステムである。このシステムにより、ドライバーは荷物の積み下ろし場所と時間を事前に知ることができ、待機時間の削減と効率的な配送スケジュールの計画が可能になる。具体的には、システムが携帯電話と連動し、接車の順番が近づいたドライバーに通知する。これにより、物流センターでの混雑を避け、スムーズな荷物の積み下ろしを実現している。

 また、物流情報プラットフォーム「TUNAGU」は、企業間での物流情報を共有するために開発された。このプラットフォームを通じて、参加企業はウェブ受注や進捗状況の照会、在庫情報の確認などができるようになる。また、バース予約・受付システムや動態管理システムとの連携を予定しており、将来的には各種機能の拡張も計画されている。これにより、物流業界における情報の透明性が高まり、より効率的な物流プロセスの構築が期待されている。

 同社が開発したこれらのシステムは、物流業界におけるDX推進の好例として評価されている。とくに、物流の効率化と顧客満足度の向上という2つの目標を同時に追求している点が特徴である。これらの取り組みは、同社がデジタル技術を活用して物流サービスの質を向上させる意欲を示しており、その先進的なアプローチが注目されている。

 同社は、創業者・富永シヅ氏の先見の明により、日本の物流業界に革命をもたらした企業である。漁業から物流へと事業を転換した富永シヅ氏は、1956年に福岡運輸を設立し、2年後の58年には当時としては革新的な冷凍車の開発に成功した。この「国産第一号機械式冷凍車」の開発は、食品輸送に革命をもたらし、福岡運輸を物流業界でのパイオニアへと押し上げた。その後、温度を一定に保つ定温輸送にも着目。日本全国、さらには海外への事業展開を視野に入れ、コールドチェーンシステムの構築により、生鮮食品を新鮮な状態で消費者に届けることが可能となり、物流業界において福岡運輸の地位を不動のものにした。

 2023年3月期は売上高519億円、従業員数1,637名、車両台数969台。物流業界におけるデジタル革命の先駆者として、新たなチャレンジから生み出されるイノベーションが、業界のみならず社会全体の発展に貢献していくことを期待したい。

【児玉 崇】


<COMPANY INFORMATION>
福岡運輸(株)

代 表:富永 泰輔
所在地:福岡市博多区空港前2-2-26
設 立:1956年10月  
資本金:1億円
売上高:(23/3)519億円
URL:https://www.fukuokaunyu.co.jp

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