「災害対応」「うきはテロワール」など 3期12年の実績を振り返る(後)
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うきは市長 髙木 典雄 氏
任期満了にともなう、うきは市長選挙が6月30日に予定されている。不出馬の意向を示している髙木典雄市長に、12年間の実績と不出馬の理由などを聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役会長 児玉 直)太古より人が集ううきは
──災害対策のほかにどのようなことに取り組まれましたか。
髙木 任期である3期12年間で災害対応については自身としてやれるだけのことはやったとの自負はあります。ほかにも、12年7月の豪雨の復興・復旧のメドを3年で立てた後、尽力したことがあります。「フルーツ王国」といわれるうきは市は、本当に地政学的に良い位置にあるほか、太古の昔から恵まれた大地を有しています。
九州大学や佐賀大学の先生方に入っていただき、うきは市の地勢、地層、地質、気候、風土を全部調べて、400年前や世界の氷河期が終わる1万2,000年前の大地はどうだったというのを学術的に調査してもらったところ、うきはの大地がフルーツをはじめ農作物の生産に非常に適していることが実証されました。それを「うきはテロワール」としてアピールしているところです。太古の昔から恵まれた大地に人が集まり、生業を立てていたという歴史資源がうきは市には数多く残されています。
やり遂げられなかった2つの施策
──12年間を振り返り、やり残したことはありますか。
髙木 しかし、在任12年でやり残したことが2つあります。1つは「文化の彩と香りのするまちづくり」です。オランダ大使館と連携して、オランダの芸術家にきていただいて、音楽や工芸、演劇などで市民の皆さんと触れ合う、アーティスト・イン・レジデンス事業を完成形までもっていけなかったことです。
もう1つは「教育」です。バブル崩壊からの失われた30年で日本の国際的な地位が低下しています。これを再び上げていくには教育しかないと思います。国家100年の大計は教育にあり、というのをしっかり頭に入れて2~3歳の幼児教育に力を入れてきました。たとえば、保育園・保育所ではリトミック教育・音感教育を取り入れることで子どもの感性を育む取り組みを行ってきました。
ほかにも、英語の早期教育も行っているところです。リスニング力を身につけるには、2~3歳から始めないと本当の発音がつかめません。しかし、リトミック教育や英語の早期教育だけではなく、もっと次代を担う世代を多くうきは市から輩出するんだ、という気概で幼児教育に力を入れていたのですが、これも道半ばで悔いが残っています。
次の市長に期待するまちづくり
──4選目不出馬の理由をお聞かせください。また、次の市長へ何を期待されますか。
髙木 DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)、脱炭素や生物多様性など広く捉えればSDGsを達成するために社会経済情勢が目まぐるしく動いています。3期12年と長く市長を務めていると、やはり考えも固定化されますので、違った視点をお持ちの方でないと市民の皆さんが不幸になるのではないかと思います。また、先述の通り23年7月の豪雨災害の復興のメドもついたということもあり、今回、4選目の選挙への不出馬を決断したところであります。
そういう意味で、次の市長にはうきは市の地域資源と歴史資源を大切にしながら、これまでとは違った視点で、うきは市が元気になるような、まちづくりを担っていただくことを期待しています。今後は私も一市民として、まちづくりに携わっていきたいと思います。
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【動画】高木典雄・うきは市長 実り豊かな大地をアピールする『うきはテロワール』について(了)
【文・構成:内山 義之】
<プロフィール>
髙木 典雄(たかき・のりお)
1951年8月、福岡県浮羽郡浮羽町(現・うきは市)出身。74年、福岡大学商学部2部を卒業。70年に建設省九州地方建設局(現・国土交通省九州地方整備局)に入省。94年から98年まで、建設省九州地方建設局から浮羽町助役に出向。その後、福岡国道事務所副所長や九州地方整備局調査官、九州地方整備局総括調整官などを歴任後、2012年3月に国土交通省を退官。12年7月にうきは市長に初当選し、現在3期目。法人名
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