中国は果たして「生産過剰」なのか(後)
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ここ2年間、物流基地の多大な投資や整備が続いたことで、今やさまざまな事業で供給過多に陥っている。GLPグループのコールドチェーン担当子会社社長である虞健民氏は、「財新」の取材に対し、今の中国は冷凍倉庫が構造的に過剰となっていると述べた。「もうこれ以上いらない、と前から言っている」という虞氏は、冷凍倉庫自体あまり需要がなく、さまざまなチャネルから一気に建設をしてしまった今、「たちまちにして過剰状態になった」と述べている。
中国の生産過剰問題は今に始まったことではなく、もう10数年も前から存在している。この問題は、地方政府の保護主義に端を発したものである。
地方政府では、経済を成長させる手っ取り早い方策は大がかりな投資でさまざまな工場を建設することである。なかでも、移転にお金がかかるので定着させやすい上、現地にGDPや歳入を絶え間なく注ぎ込んでくれる重化学工業が対象となりやすい。企業誘致に向けて、税制面における優遇措置の実施、一部の業種に対する現地での営業許可の発給や補助金の支給、あるいは土地利用の許可、といったかたちでガバガバと投資を招いている。
地方政府では、幹部に対し業績評価をする際、経済の成長度合いがかなりの配点を占める。よって地方政府同士の競争も鳴りやまず、地域間における経済の競争か資本の奪い合いに変わり、多くの産業で同じものを建て、過度な投資を招いてしまう。真っ先に考えるのはマーケットではなく自分の業績、ということである。
ならば、これらをどのように解決すべきか。
中国政府は生産過剰を解消するため、各社に対し中南米や東南アジアなど海外での工場立地を薦めている。自動車メーカーでいえば、ヨーロッパでの販売数が多い上汽グループが現地で工場の場所選びを始めたと発表している。またBYDはハンガリーに工場を設ける。
海外での販売台数が増えることで、輸出から現地生産へとシフトする企業も増えていくだろう。ただし、どの会社も同じ考えであり、足並みも早いことから、海外市場や外国政府から警戒感を抱かれてしまう。ある経済学者は、「自動車メーカーはおおむね、ます国内体制を整えてから海外進出するが、中国はこうしたプロセスを終えずに海外に出ていく。よって、現地のマーケットを乱してしまうリスクが増大する」と指摘している。
生産過剰はどの国も経験している問題であり、とくに高速成長期が過ぎて国内需要が極度に落ち込んだ際、必然的に海外市場の開拓に走る。ただし、現地が不買運動などを起こさずもろ手を挙げて投資を歓迎してくれるようなかたちをつくるにはどうすべきか、中国の政府や企業は真剣に考えなくてはならない。
(了)
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