異色の「単独応募」と異例の「敗戦の弁」~トライアルHD
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約28.5haの敷地面積で、「福岡市最後の大規模開発」として注目されていた九州大学箱崎キャンパス跡地地区。その再開発を行う優先交渉権者に18日、住友商事(株)(東京都千代田区)を代表とする、九州旅客鉄道(株)(JR九州)や西日本鉄道(株)、西部ガス(株)らで構成される企業グループが選定された。
ほかに、九州電力(株)や(株)九電工、東京建物(株)らで構成されるグループと、トライアルグループの合計3グループが応募していた。このなかで異色だったのが、単独応募となったトライアルグループだろう。
優先交渉権者落選を受け、(株)トライアルホールディングスは同日、「ALL JAPANでDXを推進する博多ベイエリアを『日本のシリコンバレーに』」と題するプレスリリースを発表した。
2つのキャッチフレーズは、同グループが今回の公募にあたり提案していたビジョンであるが、「(提案)内容を実現するために、今後もあらゆる可能性を探る」という決意表明を行っている。具体的には、現在進めている「ムスブ宮若プロジェクト」(官民連携のリテールAI技術開発拠点構想)をさらに発展させることを明らかにした。
リリースは、提案時に用いられたのであろうプレゼンテーション資料まで貼り付けられた「力作」だ。結果を知っている者からすると、結構胸を打つ内容である。ぜひ一度お目通しをいただきたい。
この種の公募において、「敗戦の弁」が出されるのは異例だ。現に、同じく落選した九州電力(株)などのグループからは、どの企業からも声明が出されていない。それくらいトライアルHDは今回の提案に強い思い入れがあったのだろう。
もっとも、今回のコンペについては「望み薄」との認識をもっていたのではないだろうか。なぜなら同社の単独応募は、他グループの連合体の応募に比べインパクトが薄かったからだ。だから、リリース発表は、事前に用意されていたものではなかったかと推測される。
とはいえ、今回の応募とリリース発表に至るまでの動きは、非常にしたたかであり、トライアルHDの存在感を強く印象づけるものになったといえるのではないだろうか。
【田中 直輝】
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