2024年09月07日( 土 )

自公で足並みそろわず、明日、自民単独で政治資金規正法改正案提出

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自民党 イメージ    自民党は、今国会で成立を目指している政治資金規正法改正案をめぐり、単独で法案を国会に提出する見通しとなった。重要法案で連立を組む公明党との共同提出とならないのは、異例である。

足並みそろわぬ自公

 16日午前に自民党本部で行われた党総務部会などの合同会議で、条文案を大筋で了承した。条文案は、国会議員の監督義務違反に対する罰則の強化や、政治資金パーティー券購入者の公開基準が「10万円超」となっている。野党が求めている企業・団体献金の禁止や政策活動費の廃止は盛り込まれていない。

 自公両党は、15日午後、両党の取りまとめを踏まえた政治資金規正法改正案の文案について協議したが、再発防止に向けた国会議員本人への罰則強化や、透明性向上を図るための第三者監査の強化については合意した。

 一方、公明側が政治資金パーティー券購入者の公開基準額について、「5万円超」への引き下げを改めて主張し、自公間で合意に至らなかった。そのため、自民単独で17日に改正案を国会提出する。

 自公間で合意できないまま、自民単独での法案提出を急ぐのは、会期末が6月23日で、審議スケジュールを考えると厳しい国会日程があるからだ。

 自民は、政治資金パーティー券購入者の公開基準を「10万円超」としたが、党内にはさまざまな意見がある。和田政宗参議院議員は、「『全面公開』か『2万円超』とするよう提起した」と発言するなど、若手・中堅は危機感を募らせている。

 かつては、自民党執行部に公明党との調整役を担う人物がおり、自公両党それぞれの立場がある法案提出に際しては、入念な根回しが行われていた。しかし、現執行部である岸田文雄総裁(首相)や茂木敏充幹事長、麻生太郎副総裁らは公明党と距離がある。

 「政治とカネ」の問題に厳しい姿勢で臨んできた公明は、自民と安易に妥協すれば、支持団体である創価学会はもちろんのこと、国民の批判を受け、次期衆院選や地方選挙が危うくなりかねない。公明は、与党ではなく、超党派による与野党協議での合意形成というかたちをとりたい考えのようだ。

野党は一本化できるかが焦点

 こうした与党に対し、野党は「法案が出てこないと議論のスタートに入れない」と足並みがそろわない与党を揺さぶる構えでいる。

 立憲民主、国民民主両党は、15日、改正案の共同提出に向けた実務者協議を開催した。立憲側が「連座制」の導入や政治資金を監視する第三者機関の設置などの条文案を提示したという。

 政治資金パーティーについては、立憲は全面禁止を主張しているのに対し、国民は派閥による開催を禁じる規制強化を掲げており、意見に隔たりがある。国民は、16日開催の政治改革・行政改革推進本部で対応を協議したうえで、立憲との共同提案を含めてどうするのかを決める方針だ。

 日本維新の会は、独自の改正案を今国会に提出する方針で、企業・団体献金の禁止や調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の使途公開などを盛り込むという。

 野党が自民に対して対決姿勢で臨むという点は共通するが、改正案を一本化できるのかが焦点となっている。

 与野党協議は週明けにも始まる見通しだが、すでに各党の思惑が見え隠れしている。政治家の都合による小手先の改革ではなく、国民の厳しい視線が注がれていることを自覚して臨まなければ、ますます政治不信に拍車がかかることになる。

【近藤将勝】

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