東京都知事選まで1カ月、野党各党と市民の奮起が国を変える
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東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)の告示まで1カ月を切ったが、いまだ構図が定まらない状況だ。小池百合子知事の3選出馬が有力視されているが、態度を明らかにしていない。
多くの候補が名乗りを上げた都知事選
そうした状況のなか、与野党の動きも鈍く、政治資金問題で逆風にある自民党は、小池氏との連携でしのごうとし、対する立憲民主党や共産党など野党による統一候補擁立も進んでいない。
東京都知事選挙は、戦後間もない1947年の第1回目から数えて今回で22回目となる。日本の首都のトップを決める選挙ということもあり、毎回、多くの候補者が名乗りを上げてきた。
75年の都知事選では、現職で社会党・共産党・公明党が推薦する美濃部亮吉氏と自民党が推薦する石原慎太郎氏、民社党推薦の松下正寿氏などが立候補し、話題となった。このとき、現職の美濃部氏が268万8,566票を獲得し、再選した。このときのリベンジで石原氏は、99年の東京都知事選挙に立候補して当選、2012年まで4期務めた。
1960年代から70年代にかけて、全国で革新自治体が次々に誕生。京都府の蜷川虎三知事をはじめ主要な自治体首長に革新系が就任した。冷戦崩壊後、社会党の党勢衰退と自民党との連立で方針転換したことから、オール与党体制による首長選挙が定着していった。
しかし、83年から福岡県知事を3期12年にわたって務めた奥田八二氏の例もあったように、自民系首長と自民系会派が多数の議会による行政運営に対抗しようという動きがなかったわけではない。
自民党にとって逆風のなかの都知事選であり、野党にとってはまたとないチャンスが訪れたものの、野党各党や市民連合などによる選考委員会は行われているが、候補者の具体的な名前が出ないままだ。
小池氏側近からの告発
今回の都知事選は、今後の衆議院解散総選挙など政局に影響を与えるだけに、関心が高いが、現職の小池氏の「あいまい作戦」により、選挙戦の構図が描きにくい。小池氏は、積極的に各種イベントに出席し、記者会見をはじめ報道に対する発信・対応も行っている。現職にとっては日々の公務が事実上の選挙活動になり、選挙において優位に立てる。
しかし、小池氏には、不安要素が少なからず存在している。学歴詐称疑惑が取り沙汰された2020年当時、「都民ファーストの会」の政務調査会事務総長を務め、小池氏の側近だった小島敏郎氏が『文藝春秋』5月号に「小池百合子都知事 元側近の爆弾告発」と題した告発文を寄稿した。小島氏の寄稿の動機に「自民党、公明党、都庁官僚と手を組む都政運営に完全にシフトした」ことがあったという。改革派の首長が議会運営上、多数派を占める自民党と妥協するのはよくある話だが、そのことが都民ファースト事務総長も務めた小島氏には許せなかったのだろう。
都知事選に向けて、立憲民主党や共産党などの野党と市民連合は、共同で擁立する候補の選定を議論する会合を行っているが、いまだ具体的な名前が明らかにされない。先月8日の会合で、立憲の手塚仁雄都連幹事長は、立候補希望の男性がおり、検討していることを明らかにしていた。その後、小池氏の表明がないまま、野党統一候補も宙に浮いたかたちになっている。
こうしたなか、広島県安芸高田市の石丸伸二市長が出馬を表明したが、与野党ともに冷ややかな反応である。各党とも「地方の首長を務めたから東京でもやれるとはならない」との見方が強い。
小池氏は、政治資金問題で窮地にある自民党を追い込むどころか、支援する動きを見せており、野党陣営は共同して候補者を擁立し、真っ向勝負を挑むべきである。首都・東京で戦えないようでは、国政の奪還は遠のくばかりである。野党各党と心ある市民の奮起を求めたい。
【近藤 将勝】
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