元弁護士・清田知孝被告裁判、第3回公判(3)破滅への道、ギャンブル依存症
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25日午後、福岡県弁護士会に所属していた元弁護士・清田知孝被告の横領事件に関する第3回公判が福岡地裁で行われた。
事件は清田被告が弁護士であった当時、依頼人の預り金等を横領していたとして起訴されたもの。1つ目の事件に加えて、第1回と第2回公判で2つの追起訴が行われ、現在3つの事件について併合審理が行われている。
今回の第3回公判では、3つ目の事件に関する被告人の罪状認否と、それに続いて1つ目と2つ目の事件に関する被告人尋問が行われた。25日に行われた第3回公判内容のうち、記事(1)で3つ目の事件に関する罪状認否と検察による「証拠によって証明しようとする事実」の説明、前回の記事(2)で2つ目の事件に関する被告人尋問を報じた。
今回の記事では、すべての事件の背景にある清田被告の弁護士としての業務状況と、被告がいかにギャンブルにのめり込んでいたかについて、被告人尋問の内容を基に報じる。
なぜ歯車は狂い出したか?
清田被告は独立して弁護士事務所を開業して以降、しばらく経営は順調であった。
しかし、2016年4月、清田被告は、医療法人とその代表者から破産手続き開始の申し立てを依頼された際、弁護士にしかできない法律業務であるにもかかわらず、行政書士と一緒に破産手続きの業務を行い報酬を受け取ったことが非弁行為にあたるとして、福岡県弁護士会から業務停止3カ月の懲戒処分を受けた。業務停止をきっかけに事務所の雇用弁護士(イソ弁)2名が独立、事務員も辞めてしまった。
業務再開後、清田被告の元には顧客が戻ってきた。だが、業務停止を食らった法律事務所で働こうとする弁護士を見つけることはできなかった。その一方で、依頼は断らずに受けたため、そのうち仕事が回らなくなった。とくに事務処理が多い債務整理の業務から遅滞を始めた。
清田被告の業務遅滞について福岡県弁護士会に苦情が入るようになった。清田被告は弁護士会の執行部と月に1度、面談を行うようになる。弁護士会との面談では、相談はするものの弁護士の派遣などといった具体的な解決策が講じられるわけではなく、進捗状況を報告する程度の内容にとどまった。
ギャンブル依存症
19年12月頃、ギャンブルを始めた。当初は事務所の売上高5,000万円程度のなかから費用を捻出していた。20年6月に父親の遺産を手にする。このころ、月に200~300万円ほどかけていた。遺産は同年11月中にはなくなった。
清田被告は弁護士業とは別に、神戸で不動産のプロジェクトを行っていた。これについて国税庁の査察が入り、国税と地方税合わせて1億円程度の納付が必要となった。地方税は分割を認めてもらったが、6,000万円ほどの国税は分割を認めてもらえなかった。
その後、顧客の預かり金に手を付けるようになった。預かり金と報酬については口座を別々に分けていたが、自分1人で管理していたことから、そのうち使途が曖昧になり、預かり金を使い込むようになった。弁護士業の売上があったため、顧客の預かり金に手を付けた分についてもカバーできると安易に考えていたが、そのうち、手を付けた預かり金や業務遅滞によって返還を求められた着手金を、さらに別の顧客の預かり金に手を付けて穴埋めすることを繰り返すようになった。
清田被告は、「当時は自分がギャンブル依存症だとは考えていなかった。しかし、今から考えると依存症だったと思う」と発言している。そして、7月から依存症治療の専門病院に通院することにしているという。
(つづく)
【寺村朋輝】
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