住宅大手が施工人材の確保へ体制強化 獲得競争の過熱化は必至
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施工に関わる人材の不足が深刻化するなかで、大手ハウスメーカーによる取り組みが活発化している。住友林業(株)は7月から、「施工パートナー推進センター」を稼働させ、施工協力会社などに対して事業承継や人員確保などの経営サポートなどを行い、持続的な施工能力の確保に努めている。
同センターは、全国に約2,000社ある施工協力会社から事業承継や相続の問題など経営全般に関する相談を受け、問題の解決に際しては社内外の専門家(弁護士や税理士など)も交えたサポートを展開する。
また、新規業者や職方から応募を受け付ける窓口としても機能し、施工協力会社へ紹介し、人員確保についても支援する。こうした機能はこれまで各地域の支店が担っていたが、同センターで集中対応することで体制強化を図る狙いがありそうだ。
同社は2030年に国内年間住宅供給戸数1万戸の目標を掲げており、その実現には担い手不足の確保などによる協力施工業者の経営の安定化が不可欠になる。また福利厚生の拡充などにも取り組むとしている。
積水ハウス(株)は今年4月の新入社員のうち、住宅建築を担う社員工を前年の3.4倍にあたる134名入社させている。それに合わせて、訓練校の育成カリキュラム変更などの体制強化や、給与などに関する新たな人事評価制度を導入している。
大和ハウス工業(株)では来年4月から、施工協力会社の大工などの作業員に特別手当を支払う制度を設けるという。
大工は20年で半減
総務省の国勢調査で2020年の大工就業者は約29万8,000人と2000年の約64万7,000人から20年で半減。今後もさらに減少するものと見られている。なかでも、60歳以上の割合が4割を超えていることも大きな課題だ。
施工体制は、供給する住宅の品質、信頼性を左右することから、住宅事業者にとってその持続性や安定性は事業における重要な根幹の1つといえる。住宅大手はもちろん、大手ゼネコンも同様の動きが見られるが、こうした動きは施工人材の獲得競争をさらに加熱させるという点で、地場の住宅事業者にも強い影響を与えそうだ。
【田中直輝】
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