DV相談証明の制度運用実態(1)アンケートの主旨と概要
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DV相談証明によって所在情報をブロックできる行政手続き
当社では、昨年11月~12月にかけて「愛する子どもを配偶者に連れ去られた~実子誘拐の無法地帯」と題してシリーズ記事を発信してきた。
取材の過程で問題の1つとして浮き彫りになったのは、実際にはDVの事実がないにもかかわらず、配偶者による虚偽のDV被害の申し出によって、連れ去られた実子らの所在情報がブロックされ、そのまま親子関係の断絶を強いられたという被害の訴えが多いことだ。
実子らの所在情報がブロックされる手続きの1つとして情報が寄せられたのが、地方自治体の「男女共同参画」を所管する部署に対して、DV相談を行った旨の証明書交付を申請し、その証明書をもって所在情報の閲覧などをブロックするというものだ。
当該手続きについては、DVが事実かどうかにかかわらず、DVの相談を行ったのみで所在情報が配偶者に対して一方的にブロックされてしまう可能性があることから、実子連れ去りでの悪用が可能な制度として、連れ去り被害者から指摘がなされていた。しかし、当該制度の運用実態については不明な点が多かった。
そこで当社は、当該制度の運用実態を調査する目的で、九州の主要な自治体に対して質問書を送った。
その回答内容がおおよそ出揃ったため、回答内容を公開したい。
質問書概要
質問書の送付日:5月4日前後
送付先自治体:8
送付先の選定理由:当該制度を所轄する部署が特定できた九州圏内の自治体
有効回答数:6 (7月29日時点)
有効回答自治体の合計人口:603万人
九州の総人口(1,256万人)に対するカバー率:48%質問に対する回答の取り扱い方針として自治体に伝えた事項
回答は報道での利用目的とする。
質問は、制度についての実態調査を目的とし、特定自治体の取扱状況を目的とするものではないため、自治体名は公表しない。質問一覧
<質問1>
DV相談を行った旨の証明書交付の申請先は、貴課との認識でよいか?<質問2>
DV相談の主たる窓口も貴課ですか? それとも別の相談センターのようなものがあるか?<質問3>
申請書の書式を参考資料として頂きたいが可能か?<質問4>
申請の要件はあるか?
たとえば、DVの事実を確認できる資料、診断書などが必要か? また、診断書が必要な場合、どの程度の診断書で要件を満たすか? たとえば、身体的DVの痕跡を示す外傷診断書が必要か、それとも、精神的な影響を示すものとして心療内科による簡単な診断書のみでよいか?
申請要件として資料が必要な場合も、決して厳密なDVの事実確認を行っているわけではないとの理解でよいか?<質問5>
発行される証明書は、DVの事実を証明するものではなく、DV相談があった事実のみを証明するものとの認識で間違いないか?
また、証明書にも、「相談があった事実のみを証明するものであり、DVの事実を証明するものではない」旨が分かる文言は記されているか?<質問6>
各証明書の書式を参考資料として頂きたいが可能か?
各証明書の届け出先を教えて欲しい。<質問7>
これまでに何件程度の申請と、証明書発行実績があるか?
(確認に時間がかかる場合は後日で構いません。)<質問8>
当該申請は女性だけでなく、男性も申請可能か?<質問9>
相談者に対して、証明書の交付以外にどのようなことを行っているか。たとえば、弁護士の紹介はあるのか?<質問10>
当該証明書を利用した住所情報照会等のブロックによって、ブロックされてしまった配偶者からのクレーム等は発生しているか?<質問11>
相談されたDVが事実ではない場合、住所情報の照会等をブロックされた配偶者は、当人の責めに帰すべき理由がないのに一方的に権利を侵害されていることになると思われるが、DV事実の厳密な確認が必要とされていない当該制度は、そのような被害を生む可能性があると弊社は認識している。貴課は当該制度のそのような問題点について認識を持っているか?(決して貴課を責めているわけではありません) また、認識がある場合、被害の発生を防ぐために、運用の上で気を付けていることなどあるか?(つづく)
【寺村朋輝】
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