2024年12月22日( 日 )

DV相談証明の制度運用実態(3)回答内容、質問7~11まで

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各回答要旨:質問7~11まで

質問7:運用実績

 これまでに何件程度の申請と、証明書発行実績があるか?
(確認に時間がかかる場合は後日で構いません。)

 これについては複数の自治体の回答は次のようなものであった。

 回答例1:公表していない。
 回答例2:統計がない。

 具体的な回答があった自治体では、証明書の年間発行実績数について回答があった。該当自治体の特定を避けるため、人口1万人あたりに換算し直して回答例にする。

 回答例3(自治体A):令和5年度証明書発行件数は1万人あたり6件
 回答例4(自治体B):令和5年度申請件数は1万人あたり2件、証明書発行件数は1万人あたり2.3件

※この回答における証明書発行件数は、住民基本台帳の閲覧に関わる支援措置や、社会保険の被扶養者離脱など、目的ごとに発行された証明書の総数とみられる。

 回答例5(自治体C):表の通り(人口100万人あたりに換算し直し)

DV相談に関する各種証明書の発行実績(年度別、100万人当たり)

 回答例3の自治体Aと比べると、年間の証明書発行実績は20分の1以下ということになり、とても少ない。自治体Aは市町村であり、自治体Cは都道府県であるので人口あたりの換算で大きな差がついたものと思われる。

質問8:性別要件

 当該申請は女性だけでなく、男性も申請可能か?

 すべての自治体で次のような回答であった。

 回答:性別に関わりなく申請可能。

質問9:証明書交付以外の対応

 相談者に対して、証明書の交付以外にどのようなことを行っているか。たとえば、弁護士の紹介はあるのか?

 回答についてはおおよそ以下のように集約される。

 回答例:緊急保護や自立支援についての情報提供、助言のほか、弁護士やカウンセラーについては無料相談の実施などについて案内している。

質問10:クレームの有無

 当該証明書を利用した住所情報照会等のブロックによって、ブロックされてしまった配偶者からのクレーム等は発生しているか?

 下記回答が複数あった。

 回答例1:住民票の写し等の交付申請に対して、DV支援措置により不交付決定となった際に、交付申請者からクレームが発生したことを確認している。

 ただし、一部では、

 回答例2:把握していない。

 という回答もあった。

質問11:対応方針

 相談されたDVが事実ではない場合、住所情報の照会等をブロックされた配偶者は、当人の責めに帰すべき理由がないのに一方的に権利を侵害されていることになると思われるが、DV事実の厳密な確認が必要とされていない当該制度は、そのような被害を生む可能性があると弊社は認識している。貴課は当該制度のそのような問題点について認識を持っているか?(決して貴課を責めているわけではありません) また、認識がある場合、被害の発生を防ぐために、運用の上で気を付けていることなどあるか?

 本設問についての回答は、自治体ごとに大きく異なっていた。各自治体の回答について、自治体が特定できないように一部文章に手を加えて列記する。

<自治体A>
 一部においてそのような報道がなされていることは認識している。

<自治体B>
 今般、新聞やニュースなどで、上記のような報道があっていることは認識している。警察署など被害者の相談先に照会を行い、回答を得た上で運用を行っている。

<自治体C >
 「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律(DV 防止法)」に基づいて、相談者(被害者)の心身の安全確保を最優先するものと認識している。

<自治体D>
 全国的に住民基本台帳事務におけるDV等支援措置において、虚偽の申出があったと主張する訴訟や、行政不服審査法に基づく審査請求の提起が報道されていることは承知している。
 そのため、支援措置申出受付窓口においては、警察やDV相談機関等の情報を基に住民基本台帳事務処理要領に基づいて適正に受付を行っている。

<自治体E>
 回答は控えさせていただきます。

<自治体F>
 配偶者暴力相談支援センターとして、相談を受ける際には、配偶者からの暴力被害の状況等を被害者から十分に聴取し、相談記録を作成したうえで、来所相談を受けたことの証明を行っている。
 支援の必要性の確認にあたっては、警察、配偶者暴力相談支援センター、児童相談所等の意見を聴取し、または裁判所の発行する保護命令決定書の写しもしくはストーカー規制法に基づく警告など実施書面等の提出を求めることにより確認するよう国の住民基本台帳事務処理要領に定められており、担当部署においては、これに則り事務処理を行っている。
 また、支援措置により住民基本台帳の一部の写しの閲覧の請求または申出に対し不許可決定を行う場合および、住民票の写し等の交付の請求または申出に対し不交付決定を行う場合、不服申立てをすることができる旨をお知らせしている。

※自治体A、B、Cは、質問7の自治体A、B、Cとは一致しない。

(つづく)

【寺村朋輝】

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