インドの未来:3期目のモディ首相の頭の中(前)
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国際未来科学研究所
代表 浜田和幸パリオリンピックがいよいよ幕を閉じます。とはいえ、「スポーツを通じて世界の平和を目指す」というオリンピックの理想は絵に描いた餅になったようです。日本選手の「メダルラッシュ」といえるような活躍がすばらしいことはさておき、以前から比べると、今や商業主義に成り下がってしまったオリンピックは、その本来の主旨とは大きくかけ離れてしまったようです。
開会式をセーヌ川で挙行したのは目新しさを演出したのでしょうが、たとえば、韓国選手団の紹介をした際にはフランス語と英語で「朝鮮民主主義人民共和国」とアナウンスしてしまいました。これは北朝鮮の正式な国名です。北朝鮮からは16人のアスリートしか参加しておらず、143人を派遣した韓国とは大違い。当然でしょうが、韓国政府は猛反発し、国際オリンピック委員会とフランス政府に抗議し、謝罪を求めることになり、バッハ会長も大慌てで緊急謝罪会見を行い、韓国のユン大統領に電話を入れた模様です。
いずれにせよ、なにやら奇抜な演出で多様性を強調したパリ五輪の開会式でしたが、200カ国ほどの参加国が集っていながら、ロシアの選手団はウクライナ戦争が理由で開会式への参加が認められませんでした。ロシアからは15人の選手が「中立国」という条件で個人の資格で参加が認められていますが、例えメダルを獲得しても国旗の掲揚も国歌の演奏も認められません。
国連ではオリンピック期間中の休戦提案を採択しましたが、イスラエルによるガザ地区への空爆は収まっていません。セーヌ川の汚染と同じように、五輪にも国際政治の汚染がはびこっているようです。結果的にロシアは今回のオリンピックを無視する決定を下しました。ロシア国内ではオリンピックに関する中継も報道も一切ありません。
それどころか、プーチン大統領はオリンピックに代わる新たな「国際友好スポーツ大会」を9月15日からモスクワとエカテリンブルグで開催すると宣言。今後は4年ごとに開催するそうです。すでにインドなどBRICS諸国を中心に100カ国以上から5,500人の選手が参加を申し込んでいるとのこと。
プーチン大統領は欧米の圧力に屈しないという姿勢を堅持しています。というのも、ウクライナ戦争によって実施された欧米諸国によるロシアへの経済制裁はまったく効果を発揮していないからです。それどころか、ウクライナ戦争以前と比べ、ロシアは格段の経済成長を実現しています。今やロシアはドイツを抜き、世界第5位の、そして欧州最大の経済大国になっています。
岸田政権はアメリカへの忖度があるせいか、プーチン大統領に対する非難を強め、ロシアとの貿易通商を制限すれば、ロシアを停戦交渉のテーブルに着かせることになるはずだと思い込んでいるようです。「プーチンのロシアは苦境に追い込まれている。経済が疲弊し、国民の不満も高まっている。あと一歩で、プーチンは敗北を認めるだろう」。そんな根拠なき楽観論に囚われているのが日本などG7の国々の指導者です。
しかし、現実はその逆で、ロシア経済の復活は目覚ましく、G7首脳会議と同時期にロシアで開催されたBRICS首脳会議では「足元のぐらつくアメリカは頼りにならない」との判断が主流で、いわゆる「グローバル・サウス」諸国がBRICS加盟に舵を切るような流れが生まれています。
世界銀行の最新のデータは衝撃的なもの。2024年のロシアの経済力は5.95兆ドルで、日本の5兆8,700億ドルを抜いています。しかも、ロシアには統計に表れない地下経済が39%もあるのですが、日本には10%しか潜在力がないとされているため、ロシアは日本を抑える経済力を秘めているわけです。
(つづく)
浜田和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。関連キーワード
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