2024年12月31日( 火 )

ヘアアイロンで子どもがやけど、電源を切った後も注意~国民生活センターがテスト

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国民生活センターによる記者発表(8月7日、東京都港区)
国民生活センターによる記者発表(8月7日、東京都港区)

 ヘアアイロンに触れた子どもがやけどを負う事故の発生を受けて、国民生活センターは8月7日、商品テスト結果を公表し、一般消費者に向けて注意喚起するとともに、関係業界に対策を要望した。

 インターネット通販や家電量販店では、プレートの間に髪を挟んで髪型を整えるストレートタイプ、クリップで挟んだ髪をパイプに巻き付けながら整えるカールタイプなどのヘアアイロンが販売されており、最高温度を200~230℃に設定できる商品などもある。

 女性に人気の家電だが、ヘアアイロンを子どもが触って、手や指をやけどする事故が後を絶たない。医療機関ネットワークには、2019年度からの約5年間に、合計43件の事故情報が報告されており、「毎年数件、継続的に寄せられている」(商品テスト部)という。

 そのうちの約7割を0歳~2歳の事例が占める。手の指や手のひら、手の甲をやけどする事例が多く、どの事例も医療機関で治療や処置を受けている。43件のうち32件が「要通院」、1件が「要入院」となった。

 同センターによると、要入院となった1事例では、「使用後のヘアアイロンを子どもがつかんでしまい、やけどを負った。160℃で使用後、電源を切ってから10分程度」放置していたという。子どもは「手のひらに水疱があり、3日間治療したが、熱傷部位が感染して抗菌薬治療のため12日間入院した」(商品テスト部)と説明している。

 このほかの事例を見ると、「電源が入った状態のヘアアイロンを洗面台の上に置いていた。歯磨き中の母の横にいた子どもがコードを引っ張り、ヘアアイロンが子どもの腕に落下した。左手背、左前腕をやけどした」などがある。

関係業界に対策を要望

 商品の実態を調べるため、同センターはヘアアイロンの商品テストを実施。インターネット通販の検索で上位に表示された商品と、東京都・神奈川県内の家電量販店で販売されていた13銘柄(8社)の商品を対象とした。設定可能な温度は低いものが180℃、最も高いものが230℃だった。

 子どもの場合、接触後に逃れようとする反応に時間がかかり、最低でも4秒の接触時間を想定する必要がある。また、4秒間接触した場合のやけどを負う温度の閾値は、セラミックが71℃、プラスチックが75℃とされていることから、商品テストではやけどを負う温度として71℃を閾値に設定した。

ヘアアイロンの温度上昇をモニターで測定(記者発表後)
ヘアアイロンの温度上昇をモニターで測定(記者発表後)

 テストの結果、どの商品も電源を入れた直後に、加熱面の温度が急上昇。最も速く71℃に達した商品では4秒、最も遅い商品では64秒かかった。一方、電源を切った後に、71℃以下になるまでに要した時間を測定したところ、平均で10分36秒、最も長い商品では17分51秒もかかった。

 プレートやパイプを覆っている部分についても、プレート・パイプが最高温となってから5分後に電源を切り、温度を調べた。その結果、多数の商品で71℃に達し、117℃まで上昇する商品もあった。

 同センターは関係業界に対し、事故を防止するため、高温の状態でも収納できるカバーやケースを付けるといった対策を要望。一般消費者に向けては、子どもがいる家庭の場合、使用後のヘアアイロンが冷めるまで置き場所にも注意するよう呼びかけている。

【木村祐作】

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