花粉症対策の糸口に!? 無花粉スギの生産事業化へ住友林業が東京都と協定
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日本は森林面積が国土面積の約3分の2にあたる約2,500万haあり、世界有数の森林国であるといっても過言ではない。しかし、安価な外国産材に押され、国産材の活用が十分に行われてこなかった。そのため、戦後に植林した、主にスギやヒノキによる人工林の5割近くが伐採適齢期を迎え、より積極的な伐採と活用、再造林が求められている。
一方で、それらの花粉による花粉症は国民の4割程度が発症しているといわれ、林野庁を中心にスギ人工林を伐採し、花粉の少ない木に植え替え、森林を循環させる花粉症発生源対策が行われている。
住友林業(株)は8日、東京都と「無花粉スギの生産事業化に向けた協定書」を締結したと発表した。人工林を伐採し、花粉の少ないスギに植え替え、森林の循環を促進する。また、それにより花粉症の減少という社会課題の改善にも役立てるという。
協定の内容は、東京都から無花粉スギの球果の提供を受け、住友林業は培養技術による苗木の増殖、都内の生産事業者と協力した苗木の育成・生産、植栽試験を行うというもの。増殖した苗木は都内の事業者に優先して販売。植林する無花粉スギ苗木の生産目標は年間10万本としている。
東京都は総面積の約4割が森林であり、花粉症発症者が都民全体の5割いると推計されることから、「花粉の少ない森づくり」で人工林を伐採して花粉の少ないスギなどに植え替え、森を循環することで木材の安定供給と林業の活性化を推進していた。
生産の事業化については、国立研究開発法人・森林総合研究所や新潟大学などが開発した無花粉スギの苗木の量産技術を参考に、組織培養で無花粉スギを増殖。従来の挿し木や種をまいて育てる増殖法と比べ、高効率に無花粉スギを増殖する技術を実用化し、スギの苗木生産の事業化を目指す。
住友林業では、グループ事業の柱の1つとして森林経営を展開。全国6カ所(北海道、福島県、群馬県、岐阜県、高知県、宮崎県)に樹木育苗センターを配置し、スギやカラマツ、ヒノキなどの苗木を年間190万本生産しているという。
また、これまでにさまざまな神社仏閣や、自治体が管理する名木や貴重木の後継樹を育成するため、組織培養・接ぎ木・種子により苗を増殖する技術を確立してきた。今回の取り組みはそうしたノウハウによるものだ。
【田中直輝】
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