プーチン大統領の胸の内:ウクライナ戦争は第3次世界大戦の導火線?
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、8月23日付の記事を紹介する。先の見通せないウクライナ戦争ですが、ここにきてウクライナ軍のロシア領内への奇襲攻撃が目立ってきました。 ロシア西部のクルスク州にかかる主要な橋3カ所がアメリカ軍の提供するハイマース・ミサイルによって爆破された模様です。
この結果、ロシア軍の補給には深刻な影響が出かねません。ウクライナ側は、その成果を盛んに宣伝し、ゼレンスキー大統領は「わが軍の優秀さを世界に知らしめる快挙だ。プーチンも怖気づいているに違いない」と自画自賛。
しかし、同じタイミングでロシア軍はクルスク州に設けられていたウクライナ軍の監視施設を完全に破壊。 ウクライナもロシアも軍人の死傷者は鰻登りで、民間人の犠牲も増え続けています。
いずれにしても、戦争はエスカレートする一方で、プーチン大統領もゼレンスキー大統領も自分たちに有利な条件でなければ停戦交渉には応じようとしていません。国連はもとより、中国やインド、ブラジルといったBRICSの主要国が和平への仲介役を務めようとしてはいますが、ロシアもウクライナも聞く耳がありません。
今、最も懸念されるのは、こうした対立が核戦争に発展することです。欧州議会のベック元議員曰く「西側はウクライナに核ミサイルを密かに提供する可能性がある。ロシア原発の使用済み核燃料を標的にした攻撃によって、ウクライナの軍事的優位性を誇示しようとしている。しかも、その責任は使用済み核燃料の管理に手落ちのあったロシア側になすりつける考えのようだ」。
当然、ウクライナ政府は否定していますが、長引く戦争を停戦に持ち込むためには、決定的な戦果を上げる必要があるわけで、ロシアとの交渉を目指して核ミサイルという非常手段に訴えることもあり得る話かも知れません。とはいえ、そうなれば、ロシアも黙っていないはず。
正に「核の応酬」となり、欧米もウクライナの支援に回れば、即、第三次世界大戦となる可能性は高まるばかりです。
何しろ、メドベージェフ元大統領に至っては、プーチン大統領の意を受けてのことでしょうが、「和平交渉の時期は終わった。ウクライナ戦争を終わらせるには、ウクライナが敗北を認め白旗を挙げるか、ウクライナを完璧に破壊するしかない」とまで発言をエスカレートさせています。
実際、最近、プーチン大統領はNATO加盟国に隣接するロシア領内に核搭載戦略爆撃機を配備しました。バレンツ海やノルウェー海を視野にロシア軍のTu-95MS戦略爆撃機の配備が進んでいる模様です。またバルト海にはTu-22M3長距離爆撃機も配備されたと見られています。これらはいずれも「NATOの湖」とも呼ばれる海域です。
要は、新たにNATOに加盟したフィンランドやスウェーデンを攻撃対象にしていることは明らかでしょう。しかも、場合によっては、これらのロシア軍の爆撃機はウクライナへの核攻撃にも使われる可能性も指摘されています。
対抗上、アメリカのF-35AやイギリスのF-35Bなどのステルス戦闘機が緊急時に備えるかたちでポーランド上空を舞台に飛行訓練を繰り返すようになりました。ロシアに言わせれば、「NATOの支援を受けたウクライナがクルスク州内のロシア原発への攻撃を準備しているため、対抗手段を講じざるを得ない」ということ。
実は、このクルスク原発はロシアへの電力供給の中心的な機能をはたしている施設です。ロシア政府は国連やIAEAに対しても、「ウクライナがロシア領内の原発への攻撃を準備しているので、それを阻止するように働きかけて欲しい」と要請を重ねています。
とはいえ、同時に、IAEAは「ウクライナ領内のザポリージア原発を狙ったと思われるドローン攻撃が発生した」と報告。誰がドローン攻撃を仕掛けたのか、はっきりせず、ロシアもウクライナも、互いに責任をなすりつけ合っています。
こんなヨーロッパ最大の原発がドローン攻撃の標的になるようなリスクが現実のものになっているのです。万が一、こうした稼働中の原発が火を噴けば、チェルノブイリ原発事故を上回る大災害になることは必定のこと。そうなれば、ヨーロッパ全土が死の灰に覆われてしまうでしょう。
16世紀に活躍したフランス生まれの予言者ノストラダムスは「2024年は第3次世界大戦の始まりの年」と意味深な四行詩を書き残しています。ヒトラーの台頭や第二次世界大戦の勃発はもちろん、広島、長崎への原爆投下も予言していたとされる占星術師の予言が外れることを願うばかりです。
著者:浜田和幸
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