2024年11月22日( 金 )

日本一のタクシーネットワークで公共交通の地域課題に現実的な「解」を

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第一交通産業(株)

第一交通産業(株) 田中亮一郎代表
田中亮一郎代表

 北九州市に本社を構え、「総合生活産業」として地域に密着したさまざまな事業を展開している第一交通産業グループ。タクシー事業を中核として全国にネットワークを拡大しながら、同社関連事業とのシナジー効果を高めるため、他業種とのコラボレーションも積極的に推進するなど、持続的な成長に向けた取り組みに余念がない。

地域の快適な生活環境を支え、
多岐にわたる事業を展開

本社ビル(北九州市小倉北区)
本社ビル(北九州市小倉北区)

    1960年6月、創業者・黒土始氏が親族とともに第一タクシー(有)を設立したことから始まった第一交通産業(株)。以降は、子会社新設やM&Aなどを繰り返しながら、事業領域および事業エリアを拡大、全国34都道府県に事業所を持つ日本最大級のタクシー会社となった。現在、地域の快適な生活環境を支えるLANS(ローカル・エリア・ネットワーク・サービス)カンパニーとして、売上比率の約半分を占めるタクシー事業を中核に、バス事業や不動産分譲事業、不動産賃貸事業、不動産再生事業、不動産関連金融事業など、多岐にわたる事業を展開している。

 同社の代表取締役社長・田中亮一郎氏は、「今の日本は、少子高齢化が加速する地方と、逆に一極集中する首都圏とに二分化されていますが、当社の事業エリアはこの両方にまたがっています。そのため、地域のお客さまのより快適な生活環境を支えるLANSカンパニーとなるため、交通事業を核として当社の関連事業とのシナジー効果を高めていくことが、持続的な成長を続けていくための唯一の手段と考えています」と、自社の成長戦略を語る。

分譲マンションや商業施設も
福岡・北九州で圧倒的存在感

 同社の柱の1つである不動産分譲事業では、「快適な生活環境の創造」をモットーに、「パレス」シリーズのマンションブランドを展開。これまでに九州・沖縄、関西、関東を中心に414棟・2万1,144戸(2024年3月末現在)を供給してきており、居住空間の提供のみにとどまらず、自然とともに都市景観や都市機能が融合したまちづくりへの貢献を行っている。現在も、「グランドパレス小倉砂津」(北九州市小倉北区、73戸、24年8月竣工予定)や「アーバンパレス博多グロウサイド」(福岡市博多区、104戸、25年2月竣工予定)、顔認証プラットフォーム「FreeiD」を導入した「グランドパレス黒崎マークスタワー」(北九州市八幡西区、139戸、26年2月竣工予定)など、時代や地域のニーズにマッチした開発を随時進めている。

 分譲マンション以外にも、北九州・福岡都市圏では、戸建住宅「ユニエクセラン」を4,935戸(24年3月現在)供給するなど、地域密着型の開発を実施。ほかに、商業施設やオフィスなどの賃貸や、不動産再生、ホテル運営など、不動産業に関わるさまざまな事業を展開している。

全国ネットの拡充も進め、業界の課題解決に貢献する

第一交通産業(株) タクシー    グループ全体の事業の中核が、全国一となる8,201台(24年3月末現在)の保有台数を誇るタクシー事業だ。同社のタクシー事業では、「乗合タクシー」や「ママサポートタクシー」「子どもサポートタクシー」「お墓参りサポートタクシー」など、タクシーを通じた地域を元気にするさまざまなサービスを展開。その他にも、全国でEV車両を217台導入(24年3月末現在)しており、再生可能エネルギーを活用したEV中心の次世代型タクシー営業所の運用や、自動運転の実証実験などの先進的な取り組みも随時実施してきた。

 さらに現在、タクシーチケットの相互利用を主軸として地域のタクシー事業者の支援を行う、いわば互助会的な取り組み「No.1タクシーネットワーク」を展開。北は北海道・稚内から南は沖縄県・石垣島まで、全国47都道府県・770社・約4万台(24年4月末現在)のネットワークまで拡大しており、自社のみならず業界全体を巻き込みながら、地域の交通事業者として、地域住民やその地域を訪れる人々の移動手段の確保に努めている。

 タクシー業界は近年、コロナ禍や燃料費の高騰、働き方改革などの荒波に幾度も晒されてきたが、ここにきて「タクシー不足」の解消を“錦の御旗”として掲げ、一般ドライバーが自家用車で乗客の有償運送が可能な“日本版ライドシェア”が始まった。

 全国ハイヤー・タクシー連合会の副会長や福岡県タクシー協会の会長などを務め、業界を主導する立場でもある田中氏は、日本版ライドシェアについて「きちんとした法整備がされておらず、利用者の安全・安心が担保されていません。また、むやみにギグワーカーを増やすことで、地方の小規模タクシー事業者が淘汰されてしまう懸念もあります」と警鐘を鳴らす。そのうえで、「既存のタクシーの規制緩和を行い、営業区域をまたいだ運転手の“出稼ぎ”が可能になれば、適正な需給バランスへと調整が進み、ライドシェアに頼らずともタクシー不足は解消できます」と訴える。

 地域における公共交通機関を維持・発展させるため、自社だけでなくタクシー業界全体の持続的な成長を牽引する同社だけに、今後もLANSカンパニーとして、地域社会の幸せと発展に向けた取り組みを進めていくことに期待したい。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:田中亮一郎
所在地:北九州市小倉北区馬借2-6-8
創 業:1960年6月
資本金:20億2,755万円
TEL:093-511-8811
URL:https://www.daiichi-koutsu.co.jp

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