2024年12月24日( 火 )

福岡の街の未来をつくってきた老舗 150年企業への最大の任務は次代への継承

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(株)未来図建設

 創業から122年経つ老舗企業の(株)未来図建設。同社は地場総合建設業として、福岡のまちづくりに貢献し続けてきた。1964年に本社を現在の福岡市南区野間へ移転させると、より地域密着型の経営を鮮明にし、県内の業界をリードする建設会社として存在感を高めてきた。時代の変化を見据えた挑戦と人材育成で150年企業を目指す。

120年超える業歴

(株)未来図建設 菅原正道代表
菅原正道代表

    120年以上の業歴をもつ(株)未来図建設の歴史は1902年に遡る。代表取締役・菅原正道氏の祖父である金子仙吉氏が長崎県佐世保市で金子組を創業。35年に(株)金子組を設立し、福岡にも進出した。52年には同社福岡支店を基に(株)福岡金子組を設立した。それ以降、建設業者としての足場を固めつつ、地域のまちづくりに貢献してきた。64年に本社を現在の福岡市南区野間に移転した後は、地域密着型の経営をより鮮明にしている。

 93年5月に現商号に変更した際に社名に込めた信念は、「美しい街並みをつくる」というもの。福岡県内の建設業界をリードする企業の1社として存在感を発揮している同社が、“100年企業”として今日まで発展してこられたのには、地域に愛されながら、そこに住み、働く人々に寄り添った事業の展開を礎としてきたからといえるだろう。近年でも、創業120周年を記念事業として、南区の若久中公園に飛び出し防止のフェンスを設置し、地域の子どもたちが安心して遊べる環境を提供するなど、その信念は変わっていない。

若久中公園に寄贈した子どもの飛び出し防止用フェンス公園(福岡市南区)
若久中公園に寄贈した子どもの飛び出し防止用フェンス公園(福岡市南区)

先が読めない時代でも挑戦

 どの業界においても、昨今の物価・エネルギー価格高騰の影響を免れないが、価格転嫁の容易さには違いが出てくる。建設業の場合、見積もりを顧客に提示後、実際に材料などを調達し施工するまで一定の時間を要すため、施工時には見積もり時よりコストが増大することがある。

 菅原正道代表は、そうした現状を踏まえながらも、次世代を見据えている。「先行きが読めない情勢でも、我々がすべきことは不変です。現状に甘んじることなく、よりお客さまに喜んでいただくために、自らも研鑽を積みながら、これまで築いてきた事業を次世代に伝えていきます」と力強く語る。

 将来のさまざまな可能性に備え、オフィス、商業施設、物流施設など多様な建物の受注・施工に今まで以上に注力している。建設業は受注産業であり、先々の景気動向を注視し経営戦略を立てていく必要があるが、菅原代表も30年以上にわたり時代の行き先を読もうと洞察してきた。

JC時代の仲間

 93年に正道氏の父である道之氏が会長に就任し、正道氏が代表に就任した際、正道代表は当時39歳であり、以後30年以上、経営に専念してきた。代表に就任して以降は事業一筋で、ある意味では頑固一徹であり、人柄が優れているだけでなく、筋を通す強さを秘めている。

 正道代表は福岡青年会議所(JC)理事長を経験している。JC仲間から「人柄は一番と評して良い」と断言されるほど、人格者として高い評価を受けてきた。同時期にJC理事長を経験した歴々は「菅原氏ほど誠実な人はいない」と評する。

人材の育成と事業承継

「博多駅センタータワー」(地上14階・PH1階、福岡市博多区)
「博多駅センタータワー」
(地上14階・PH1階、福岡市博多区)

    世代を継ぐことは、次世代の人材を育てることでもある。菅原代表は「会社の宝は人。社員に愛される会社は、お客さまにも愛される会社になれる。そのためには常に愛情をもって社員に接し、アットホームな社風を築き、『会社が大好き』な社員をたくさん育てることが大切。また、働きやすい職場環境を整備し、社内での対話を増やし、風通しの良い会社にするために努力していく」と話す。

 菅原代表は「今日の基盤を築くことができたのは私だけの力によるものではありません。確かに時代の行き先を常に洞察し、先手を打ってきました。しかし力強い幹部社員の存在があってこそ、今の会社の規模を固めることができたと認識していますし、彼らに感謝しています。だからこそ、私の最大の責務は事業継承をしっかりと行うことです。まずは150年を超えられる組織づくりをしなければなりません」と気を引き締める。

 代表に就任して30年が経過し、今後の事業承継が視野に入っている。「私が経営を継承した時代から社会状況は大きく変化し、会社の規模も大きくなり、事業承継のために打てる手は質的に大きく変化しています。最大かつ喫緊の課題は経営幹部の若返りを進めることです。私とともに一途に経営強化に注力してくれたメンバーたちはみんな同世代ですから」と分析する。

 「時代の流れを読みながら手を打っていくとともに、海外市場も視野に入れます。建設関連事業において連動した戦略も練り上げることも重要でしょう。しかし何よりも人材の育成と経営陣の強化が事業継承の要となります」と菅原代表は結ぶ。

 未来図建設は菅原代表以下、強い想いのもと、さらなる発展を遂げ、福岡の街の未来を築いていくに違いない。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:菅原正道
所在地:福岡市南区野間2-7-1
設 立:1952年11月
資本金:9,900万円
TEL:092-511-1311
URL:https://www.miraizu.co.jp

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