2024年10月03日( 木 )

30周年を迎え、また超えて(9)平成バブルの波動

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東建設完工高100億円突破!

街金 イメージ    「(8)『考えられない倒産』が続出」で「超金融緩和のツケ」の結末についてレポートした。この間、町金融業者が倒産していった。1985年は、和暦でいう昭和60年、残り4年(89年)で元号が平成へと変わる。超金融緩和で町金融業者は淘汰されたが、一方で中小企業が短期間で事業拡大を図るケースが増えてきた。平成初頭に本格的にバブルの波が押し寄せてくるが、その「序盤戦の波動」が85(昭和60)年にひたひたと押し寄せてきたのである。

 その「波動の先手」をつかみ「100億円企業に到達した」のが東建設(福岡市中央区)であった。思えば、今でも同社OBの経営者たちとの付き合いは続いている。それだけ優秀な人材がひしめいていたのである。OBたちのスカウトも激しかった。社長スカウトを頼まれて一肌脱いだこともある。社長に就いたOBのA氏が最も恵まれていたのではないか。およそ15年間、社長のポストに座り、年収1,500万円を支給されていた。まさに「運力の塊」である。

 さて東建設が業界にどのような影響を与えたのか!それは福岡市に本社があるゼネコンとして初めて完工高100億円台を記録したことである。87(昭和62)年のことだ。それまでは、松本組が80億円台の完工高をキープしておりトップだった。同業他社は80億円台を遠慮するという伝統が続いた。抜きんでるゼネコン(地元福岡)の存在が無かった理由として「福岡市には大手ゼネコンが数多く進出して来ている。だから地元企業が規模を拡大する余地が少ないため、100億円を突破する者がいない」ことが挙げられる。

 今から思えば、それは“屁理屈”であった。東建設が完工高100億円を突破した後、「俺も、うちも100億円企業になってみせるぞ」という競争の原理が働き始めた。もちろん、バブルという時代背景もあったのであろう。トミソー建設(南区)は、一時期600億円を超える売上を記録したことがある(もちろん不動産の扱いも売上にあげていた)。他県で言えば、松尾建設は単独で完工高1,000億円に迫った。大分の雄である佐藤組(後のさとうべネック)も業容を拡大したが、あえなく倒産した。同社の社員たちは真面目で優秀であったので、そのOB達をスカウトできた企業(ゼネコン)は大躍進した。

「建設業ランキング」を調査した商品を開発

 「東建設100億円突破」を耳にして閃いた。「建設業界もいよいよ競争激化の時代となった。業界の為に皆さんが発奮するようなデータを作成しよう!」と思索を続け、『福岡県ゼネコン100社』を発刊した。88(昭和63)年秋のことであった。「福岡県で初めて登場した100億円企業・東建設」という見出しが、同業の経営者に対してインパクトを与えたようである。ライバル意識を植え付けるために若手三羽烏に「色物のマエミヤ」(前宮建設)、「アパートのジョウセイ」(上成建設)、「ソウコのオオタカ」(大高建設)とそれぞれ呼び名もつけた。

 『福岡県ゼネコン100社』の4回目の発刊となる91(平成3)年には、「今度はいつ発刊するのか?」という問い合わせが殺到した。この建設業100社をランキングした書籍づくりが、最も建設会社のオーナーたちと懇意になれる機会を得るきっかけとなったのではないか。鬼籍に入った経営者たちの顔が浮かんでくる。彼らから様々な恩義を受けた。有澤建設(現・博多区)の創業者とは、75年(昭和50)年4月に初めて会い、それ以来、長い間、応援していただいた。「建設業界のオヤジ」たちの顔を記憶しているうちに『福岡建設業界の歴史』でもつくることにしよう!

ドル箱商品になる

 業界における企業調査受注のピークは85(昭和60)年前後だったと記憶する。筆者は「調査商品の形を変えて、何かこの世に送りだす必要がある」とかねがね模索しており、「よし!この市場調査を稼ぐ商品にしてみせる」と決意した。このゼネコン市場調査の販売実績が最高潮だったのは、93(平成5)年ではなかっただろうか。350部売ったと思う。350部×4万円=1,400万円である。この商品は収益が高い。加えること『福岡マンション30社』、『設備業界30社』と年に3業種分を発刊していたから、3,000万円の売上になっていたのではないか。

 この商品は筆者の「オリジナル発明品」である。20年間お世話になった東京経済には恩義を尽くしたと思う。また、この商品は社内の調査員育成に持ってこいの武器となった。95(平成7)年に会社を起こして営業活動を始めた。この業界の市場調査は、それなりに売上に貢献してきたが、現在、内容を刷新する必要性も感じつつある。

 さて次回はクレーム処理に関して報告する!

(つづく)

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