2024年10月08日( 火 )

劇的な変貌を遂げた六本松(後)

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 2009年10月に九州大学の六本松キャンパスが伊都エリアに移転完了してから、15年になる。キャンパスがあった六本松周辺エリアは学生街から、裁判所、そして大規模なマンション、商業施設が立ち並ぶ複合的な機能をもつまちへと大きく様相を変えた。現在もマンション開発などが行われ、まちの更新が進んでいるが、その一方では学生街を偲ばせる一角も残り、それらを目当てに多くの人たちが行き交っている。

周囲に広がる住宅街

 六本松地区の周囲は、主に住宅街で構成されている。西側に位置する草香江地区は大濠東油山線の沿線を中心に中層マンションが多数林立している。もともと、六本松周辺エリアは居住者の多いエリアだったが、それは南側の梅光園地区や、そこから樋井川を挟んだ場所にある別府地区にURの団地があることも影響している。このうち梅光園地区は、商業施設などが充実する利便性が高い六本松地区まで徒歩5分程度の立地であることに加え、団地群のなかにスーパー「サニー梅光園店」もあり、生活しやすい環境。福岡市内はもちろん、県外から福岡市に移り住む人々の居住地としても人気が高まっているようだ。六本松4丁目の南東側に広がっているのが谷地区で、こちらは緑豊かな丘陵地に中層マンションや戸建住宅が建ち並んでいる。戦前のまちづくりの名残である細い路地や階段が各所に見られるのも、この地区の特徴の1つだ。

 ところで、六本松周辺エリアは福岡市地下鉄七隈線が博多駅まで延伸されたことで、交通利便性が向上。利用者も着実に増加しており、慢性的な混雑の解消に向けて、ラッシュ時には計6往復の増便を行うなどの取り組みが行われている。そうした交通アクセスの向上に加えて、福岡市における都心のオアシス、舞鶴公園と大濠公園の両公園まで徒歩10分程度の場所に位置するという立地性にも優れたエリアであり、今後もさらなる人口集積と発展が見込めそうだ。

マンション・商業ビル、開発が続々進行中

 大規模再開発が一段落した現在も、六本松駅周辺の開発は断続的に進められている。六本松駅から徒歩10分圏内だけで見ても、国道202号沿いでは(株)ラ・アトレ(東京)によるテナントビル「A*G六本松」(S造・9階建、延床面積1,675.68m2)や、modern palazzoの「六本松2丁目Ⅲ」(RC造・9階建、延床面積1,000m2のワンルーム外16戸)といったマンションまで、幅広く開発が進められている。このほかにも注目される物件は多数ある。

 梅光園1丁目、六本松駅から徒歩5分程度の油山観光道路沿いの場所では、JR西日本不動産開発(株)(大阪)による「福岡市中央区梅光園1丁目プロジェクト」が進行中。建築物の概要はRC造(一部S造)14階建、延床面積6,534.81m2のワンルーム90戸・ワンルーム外33戸で、着工は11月頃を予定している。また、そのすぐ側では「アクロス六本松」も計画されている。建築物の概要は、RC造・11階建、延床面積1,421.49m2のワンルーム20戸・ワンルーム外10戸。建築主は(同)アクロスアセットプロパティ、設計者は(有)井上長年設計事務所で、着工は10月頃を予定している。

 六本松2丁目では、(株)ネストによる「六本松マンション」計画もある。建築物の概要はRC造・9階建、延床面積881.61m2のワンルーム24戸。同じく2丁目では、前出のCLASSIER SWITCHを手がけた(株)アイネットがテナントビル「六本松233Project」(RC造・7階建、延床面積642.92m2)を計画しているほか、その隣接地では(株)レーサム福岡によるテナントビル「(仮称)六本松二丁目PJ」(RC造・10階建、延床面積2,600m2)が25年2月の竣工を目指し建設中となっている。六本松4丁目にも近い谷1丁目では、(株)アンビスホールディングス(東京)による有料老人ホーム「医心館福岡」(S造・6階建、延床面積2,116.95m2)の建設も進んでおり、マンションやテナントビルだけでなく、さまざまなニーズに対応する建築物が誕生している。

(了)

【田中直輝/代源太朗】

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