首相官邸襲撃事件　警察庁が要人警護の徹底などを都道府県警に指示

　19日午前6時ごろ、東京都千代田区永田町の自民党本部前で男が火炎瓶5本ほどを投げた上、運転していた軽ワゴン車で約600ｍ南にある首相官邸前に移動、防護柵に突っ込んだ後、発煙筒のようなものを投げつけた。

　この事件で、自民党本部前で警備にあたっていた警視庁の機動隊員3人が、のどに全治1週間の軽傷を負った。

　警視庁公安部の発表によると、逮捕されたのは、埼玉県川口市在住、臼田敦伸容疑者（49）。原子力発電所の再稼働に反対するなどの左派系運動に取り組んでおり、活動が新聞などで取り上げられたこともある。

　組織的な背景があるかについては、現在捜査中であるが、単独でテロを行う「ローンオフェンダー」ではないかとの見方が強い。

　2022年7月の参院選の応援演説中に、安倍晋三元首相が銃撃された事件、23年4月には、衆議院和歌山1区における補欠選挙に際し、応援に訪れた岸田文雄首相（当時）が鉄パイプ爆弾を投擲された事件が起こるなど、立て続けに「ローンオフェンダー」によるテロ事件が起きた。

　警察庁は19日、首相官邸など重要施設への車両突入防止策や、演説会場での手荷物検査、不審者への職務質問などを徹底することを、都道府県警へ指示した。

　福岡でも今週、与野党の党代表や閣僚経験者が、選挙応援で来援することが予定されている。福岡県警は、制服・私服警察官を動員する予定で、これまで以上に厳重な警戒のもと、街頭および屋内演説会が行われることになる。

【近藤将勝】