半導体業界を襲ったASMLの株価急落(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏予想を下回った第3四半期の実績発表
半導体製造装置の世界最大手であるオランダ企業ASML(ASML Holding N.V.)は、今月15日、第3四半期の実績を発表した。それによると第3四半期の新規受注額は、市場の予想値である約54億ユーロを大幅に下回る26億ユーロだった。また、来年の売上高も300億ユーロ~350億ユーロになることが予想され、以前の予想に比べると、大きく減少した。
この発表を受けて、ニューヨーク証券取引所でASMLの株価が16.3%下落し、フィラデルフィア半導体株指数も5.28%下落するなど、ASMLホールディングの弱気な見通しがきっかけとなり、世界的に半導体関連株が急落した。
ASMLは最先端半導体製造設備において世界最強で、同社の実績がよくないということは、当然、半導体業界における設備投資の減少を意味し、結果的に半導体の景気が悪化することを意味する。半導体の設備投資が鈍化するということは、需要が減ることを予想し、設備投資を減らしていることなので、最終的に市場が冷え込んでしまう。
韓国を代表する半導体銘柄であるサムスン電子も16日、株価が2.46%下落した。外国人投資家はサムスン電子の株を売り続けているが、何と26日連続で同社の株を売り飛ばしている。これは統計を取り始めた1999年以降の最長記録である。
16日の日本市場でも、半導体製造装置関連の株価が下落。東京エレクトロンは一時10%安となった。17日に7~9月期決算を発表した半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の株価も同じく2.34%下落した。今回の「ASMLショック」で、米上場の半導体株の指標であるフィラデルフィア半導体株指数とアジアの主要半導体銘柄を合わせ、4,200億ドル(約62兆6,000億円)以上が株式市場から消失した。同社のニュースはほかの半導体関連株にも大きな打撃を与え、市場に衝撃が走った。
ASMLとは
ASMLは、オランダを拠点に事業を展開している世界的な半導体製造機器メーカーである。微細化が進む半導体製造装置のなかで、注目されている技術の1つが「EUV露光」である。その先頭を走る企業がオランダの「ASML」である。ASMLは最先端半導体チップの製造に欠かせない重要な装置を世界に向けて供給しており、同分野では圧倒的なシェアを占めている。
同社は世界で初めてEUV露光装置の開発に成功し、市場をリードしている。EUV露光装置は、既存の露光装置よりも細密なパターンを作成することができ、半導体素子の高精度化・高性能化を実現する重要な役割を担っている。同社の装置が世界中の半導体メーカーに供給され、半導体技術の革新に大きく貢献している。とくに7ナノ以下の半導体になると、同社の製造装置を確保できないと、製造できないので、「われ先にと」各社がEUV露光装置を確保しようとしている。
(つづく)
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