鹿島の欠陥マンション、建築基準法・建設業法違反で告発される
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鹿島建設が施工した福岡市久留米市のマンションで、住民らが耐震性が基準の35%しかないことや梁30本が施工されていないと指摘している問題で、久留米市の楢原利則市長あてに建築基準法、建設業法違反だとの告発状が送られたことが分かった。告発状を提出したのは、同マンション住民の依頼を受けて構造の技術的な検証などに携わっている協同組合建築構造調査機構代表理事の仲盛昭二氏(一級建築士)。告発状は、11月10日付。
久留米市は11月12日、取材に対し「告発状が届いている。どのように対応するか協議、検討中」と答えた。「建築確認した久留米市も違法」と告発状
告発状は、新生マンション花畑西(地上15階建て、鉄骨鉄筋コンクリート造)が「構造耐力の極端な不足を始め、建築関係法規(建築基準法、建築機銃法施行令、建設業法、日本建築学会基準等)に適合していない状態」だとして、構造設計が建築基準法などに違反しているだけでなく、建築確認済み証を交付した久留米市建築主事も建築基準法6条に違反していると指摘している。
梁30本手抜き「施工業者の建設業法違反」と告発
施工業者に関しても、建築基準法施行令第79条の鉄筋かぶり厚の規定違反、西側外部階段と建物本体を接続する梁30本が図面上に明記されていながら施工されていないことを挙げて、建設業法に違反していると告発している。
仲盛氏は告発状で、これらの法律違反をすでに久留米市に伝えてきたにもかかわらず、市が適切な対応をしてこなかったと指摘。「弱者であるマンション区分所有者のために、この違反建築に関する告発状を提出する」と述べている。
建設業法は、目的に「建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護する」とうたい、第28条で「建設業者が建設工事を適切に施工しなかつたために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき」などには、国土交通大臣や都道府県知事に営業停止などの処分ができると定めている。鹿島は、国土交通大臣許可の建設業者なので、処分権限は大臣。
告発した仲盛氏は、「久留米市および都市建設部長からの回答が得られなかった場合、久留米市は当該マンションが違法状態であることを認めたものとして、正式に、国土交通省へ告発を行う予定」としている。
久留米市はこれまで「建築確認は適切に行われていた」と説明してきた。建築確認の完成検査をすり抜けた杭打ち不正マンション建設が発覚するなか、今回、久留米市の建築確認に違法があったと告発されたことで、建築確認行政のあり方が問われる。
同マンションをめぐって、住民らは鹿島らを相手取って裁判を起こし、損害賠償を求めている。鹿島建設は、「(耐震強度不足は)設計に関する問題で施工者の問題ではない」「鉄筋かぶり厚の具体的特定がない」などと主張し、請求棄却を求め、全面的に争っている。
【山本 弘之】
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