2024年12月22日( 日 )

【BIS論壇No.462】アフロ・アジア・ユーラシアと一帯一路・メディカルツーリズム

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 NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
 今回は11月11日の記事を紹介する。

先進医療 イメージ    「一帯一路」を研究する場合、将来を見据えた巨視的な視点が要請される。とくに人口面からの考察が必要であろう。

 1.資源大国のアフリカ54カ国は現在の14億人から2050年には25億人に達し、世界の人口の4人に1人はアフリカ人となる。これに中国、インド、ASEANを加えると50億人となり、世界人口の2人に1人はアフロ・アジア人となる。よって21世紀から22世紀にかけて世界の経済はアフリカ、中国、インド、インドネシア、ASEAN、パキスタンなどの有力人口国が主導すると予測される。 かかる趨勢から「一帯一路」の主力はアフリカ、アジア、中央アジアをふくむユーラシア大陸とのConnectivityが必要である。

 2. かかる観点から、海と陸の「一帯一路」は高速道路、高速鉄道、海運によるアジアユーラシア―欧州、アフリカへの物流網構築が決め手となる。21世紀の国際貿易競争力は運送費の削減に大きく依存する。製品の輸出競争優位は、品質や製品コストはロボットの活用でどの国も均一化しつつある状況下、運送費の競争力如何による。

 3.「一帯一路」推進に際し、「環境」を考慮した対応がこれまで以上に要請される。
物流面でのCO2削減、効率化にも 特段の配慮が望まれる。

 4.あわせて健康の観点から、医療ツーリズム振興による「一帯一路」沿線各国の健康医療振興も重要である。この面においては160病院を活用し年間260万人(2016年)の医療ツーリズム実績のあるタイ、85万人のシンガポール(2011年)、マレーシア90万人(2016)、インド85万人(2011)、韓国36万人(2016)が積極的で、医療資源を観光資源として活用している。医療大国の日本はビザなどが厳しく、わずかに6,924人(2014)
と域内最低で、中国などとも協力し、抜本的な対策を講ずるべきだと思われる。

 5.「一帯一路」の推進に際しては、域内中小企業の振興、スタートアップ企業の育成、宇宙通信網の構築、ITC、AI、 DX、ロボット活用など先端技術の活用面でのさらなる協力が要請される。

 6.とくに三国間での日中の協力が必須であろう。

 7.以上の観点から国際アジア共同体学会、一帯一路日本研究センターとさらに鳩山元首相が理事長の東アジア共同体研究所などと中国関係機関との定期的な研究会開催を希望する。      

 8.「アジアインフラ投資銀行」への日本の積極的な参加を希望する。

 9. さらに「APEC」、「G20]、「SCO」、「BRICS」、「RCEP」「世銀」「日中韓」協力事務所、 UNIDOなど国連関連機関との協力研究も要請される。

 10.あわせて経済のみでなく、各国との文化交流も「B&RI」国際協力の一環として積極化させることを希望する次第である。


<プロフィール>
中川十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。

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