【2024年ヘルスケア関連の行政を振り返る】トクホ、機能性表示食品、特別用途食品はどうなる?
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2024年は、ヘルスケア関連の行政動向に大きな関心が寄せられた。紅麹問題を発端とする機能性表示食品制度の抜本改正が、健康食品業界を揺るがした。この話題に隠れてしまったものの、ほかにも重要な取り組みが着々と進められた。特定保健用食品(トクホ)、特別用途食品の各制度でも新たな動きが出ている。12月にはCBDの新たな規制がスタートする。今年1年間の行政動向を振り返る。
トクホ復活?動き出した疾病リスク低減表示
今年3月22日、小林製薬(株)の紅麹問題が発覚。その後、機能性表示食品制度の抜本改正につながっていく。第1弾として、届出者に健康被害情報の収集・報告などを義務づけ、9月1日に施行された。ヘルスケア業界は紅麹一色に染められた。その影響で目立たなかったものの、業界にとって重要ないくつかの施策も進められた。トクホ復活へ向けた取り組みもその1つだ。
2015年に登場した機能性表示食品の人気に押され、トクホ市場は衰退の一途をたどっている。現時点の機能性表示食品の届出は延べ約9,000件。一方、トクホの許可は1,000件超でとどまっている。わずか10年で市場の勢力図が逆転したわけだ。この状況にトクホ業界は危機感を募らす。制度を所管する消費者庁も、トクホのテコ入れに頭を痛めてきた。
そうした状況のなかで打ち出したのが、疾病リスク低減表示の活性化だった。疾病に関する表示は機能性表示食品では許されず、トクホだけに認められているからだ。もし、生活習慣病や更年期症状に関する各種の疾病について訴求できれば、大きな市場を形成できるチャンスが生まれる。
疾病リスク低減表示のトクホは、具体的な疾病名を挙げて、そのリスクを低減する可能性をうたうことができる。規格基準型と個別評価型がある。規格基準型は、国があらかじめ関与成分と表示内容を定める仕組み。現在、カルシウムの「骨粗鬆症になるリスクを低減」と、葉酸の「神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減」の2つがある。これに対し、個別評価型は、企業が希望する関与成分や表示内容を用いることができる。
カルシウムと葉酸しかない規格基準型と比べて、自由度が高い個別評価型は企業にも消費者にも魅力的。しかし、これまでにチャレンジする企業は現れなかった。その要因について、業界団体の関係者は「申請時にどのような資料を用意すれば十分なのかが不明だった」ことを挙げる。企業は尻込みしてきたわけだ。
そこで、消費者庁は事前相談に乗り出した。申請を希望する個々の企業に対し、必要となる申請資料についてアドバイスする。健康食品分野で消費者庁が、このように“親切”に振る舞うのは異例といえる。
先陣を切って、個別評価型の疾病リスク低減表示にチャレンジしたのは、大手メーカーの3社だった。このうち、マルハニチロの1製品のみが許可された。今年2月1日に同社から、心血管疾患のリスク低減を表示したフィッシュソーセージが登場した。これに続き、消費者庁は9月20日、新たに申請された1製品について審査を開始した。
市場活性化のカギを握る一方で、審査をクリアできなかった2事例を通じて、課題も浮かび上がった。有効性については、「関与成分」「評価指標」「疾病」の関連性を示す根拠が必要となる。しかし、このうち「関与成分」「疾病」間の関連性を示すデータが乏しく、高いハードルとして立ちはだかっている。今後もトクホ企業を中心にチャレンジが続くと予想されるが、トクホ復活に向けて一筋縄ではいかないようだ。
CBDの新たな規制 12月12日に施行
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