国民・玉木代表、役職停止3カ月～代わりとなる人材はいないのか

　国民民主党は、4日開催された両院議員総会で知人女性との不倫関係を報じられた玉木雄一郎代表に対し、来年3月3日まで3カ月の役職停止処分にすることを決めた。玉木氏は、処分終了後まで党役員会に出席できず、代表としての活動や記者会見は行えない。

　玉木氏は11月11日、写真週刊誌『SmartFLASH』で不倫疑惑を報じられた。玉木氏は報道内容を概ね事実と認めており、党所属の国会議員3人で構成する党倫理委員会が玉木氏に聴取をするなどして事実関係の調査をした。

　処分期間中、玉木代表の党務は古川元久代表代行が行い、処分期間が終わると玉木氏が代表に復帰する。

　現在の国民民主党の党勢は、衆議院28人、参議院9人。衆議院で議席を公示前の4倍に増やしたとはいえ、1年生議員が多い。

　党役員は、幹事長の榛葉賀津也参議院議員をはじめ、幹事長代行の川合孝典参議院議員（UAゼンセン）、政調会長が濱口誠参議院議員（自動車総連）、選挙対策委員長は、浜野喜史参議院議員（電力総連）といった参議院議員であり、支持基盤である連合傘下の民間労働組合の組織内議員が目立つ。

　連合の歴代会長や事務局長は多くが民間労組出身だが、民間といっても組合があるのは大企業とその子会社がほとんどで、政治活動に熱心な公務員労組に比べると選挙での集票力は劣る。

　組織委員長の伊藤孝恵参議院議員は労組出身ではなく、テレビ局の報道記者や資生堂などで働いた経験があり、就職氷河期問題やヤングケアラー、子育て世代の支援などに熱心で党内外で期待されている。

　これまでの労組依存を打破すべく、玉木氏らはネット戦略を展開し若い世代に支持を広げたが、今回の玉木氏の不倫問題で連合の芳野友子会長などから「けじめをつけるべきだ」との叱声を受け、役職停止処分となった。

　問題は玉木氏の不倫だけではない。週刊文春は、玉木氏が件の女性を国民の公認候補として国政選挙に擁立しようとした疑惑を報じた。玉木氏は地方議員を含め何らかの「立候補の可能性」を同人に話したことは認めたものの、党として面接や正式な検討はしていないとしていた。

　「公私混同では」との批判も当然出てくるが、来夏の参院選を前に支持団体の連合との関係を考えつつ役職停止3カ月という軽い処分にしたのは、選挙直前まで引きずることで生じるマイナス面を考慮したからではないだろうか。

　過去には、宮崎謙介元衆議院議員が不倫発覚で辞職し、宮澤博行元衆議院議員（いずれも自民党）は、裏金問題に加えてパパ活不倫が報じられ辞職している。不倫に関しては、家庭内の問題ということもできるが、公職者としての倫理観は問われるだろう。

　国民は所得税がかかる年収の最低基準「103万円の壁」を178万円まで引き上げるよう主張し、自民、公明両党と協議を続けているが、玉木氏が交渉に参加できないことで影響が出ることを危惧する関係者は多い。

　福岡の国民支持者でも玉木氏を応援する人は少なくない。玉木氏が福岡入りした代表選討論会や博多駅前での街頭活動を取材した際、玉木氏に握手を求める若い世代の姿を数多く見かけた。中高年の支持者が多い立憲民主党とは対照的であった。

　国民が衆院選で躍進した理由の大きな要因に玉木氏の存在がある。「対決より解決」を訴え、若い世代を中心に認知度が高い玉木氏が党の前面に出られなければ、党の支持率も再び下がるのではないか。民間労組に頼ってきた同党の脆弱さを露呈したといえる。

【近藤将勝】