2025年01月10日( 金 )

日銀超金融緩和主張者の共通点

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「日本政府はまともな経済政策運営を執行するべきだ」と訴えた1月9日付の記事を紹介する。

12月19日の金融政策決定会合で日銀は金利引き上げを見送った。利上げを見送った直接の要因は、前日の12月18日に米国FRBが利下げを決定したものの、先行きの金利引き下げペースを緩やかにする方針が明示されて米国株価が急落したことにある。NYダウは12月17日終値43,449ドルから1,123ドル急落して18日は42,326ドルで取引を終了した。

FRBはFFレートの見通しを公表した。9月FOMCでは2025年末のFFレート水準を3.25~3.50%としていたが、12月FOMCでは3.75~4.00%とした。12月18日のFOMCでFRBはFFレートの誘導目標を4.25~4.50%に引き下げた。昨年9月FOMC以来12月までに3回のFOMCが開催されたが、そのすべてで利下げが決定された。しかし、12月のFOMCでは2025年の利下げをペースダウンする方針が決定された。9月時点での、2025年に0.25%幅の利下げを4回実施するとの見通しが、2回実施方針に修正された。

パウエルFRB議長は会見で「今後は利下げでより慎重になる可能性」「インフレ率が持続的に2%に向かわなければ、利下げペースをより鈍化させることが可能」と示した。FRBの利下げペースが鈍化する方針が示されたことに反応してNYダウが前日比1,123ドル急落した。

昨年7月末の金融政策決定会合で日銀は利上げを決定。利上げ決定は想定の範囲内のもので、日銀の利上げ決定を受けて日本株価は反発した。ところが、その後の記者会見で植田和男日銀総裁が「今回の展望レポートで示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。」と述べて金融市場が激烈な反応を示した。

日銀の利上げ対応は適正なもの。しかし、利上げ後の会見で「利上げを継続する」と宣言する必要はなかったといえる。日経平均株価は7月11日の42,426円から8月5日の31,156円へ11,270円、26.6%の暴落を演じた。歴史的な株価大暴落になった。

しかし、1990年の大暴落とは異なり、今回の株価急落は「バブル崩壊」ではない。私は株価が反発に転じる可能性が高いとの予測を明示した。実際、その通りになった。この経験があるため、12月19日の利上げは見送る以外に道はなくなった。

※続きは1月9日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「日銀超金融緩和主張者の共通点」で。


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