2025年「世界資本主義再構築」と日本の好位置(6)
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NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
今回は1月1日発刊の第371号「2025年「世界資本主義再構築」と日本の好位置」を紹介する。買収ブームが引き起こす株式資本主義時代
AI革命など歴史的技術発展の時代に、企業収益が高まり、企業部門に過剰利益が蓄積されることが常態化している。この企業利益を経済システムに還流させるうえで、米国で定着した株式資本主義が大きな役割をはたした。ベンチャーに巨額の投資資金が集まるエコシステムは米国経済長期繁栄と長期株高の原動力であった。
米国の株式資本主義は、(1)金融の効率性=適切な資源配分、(2)技術の米国への集積、ハイテクエコシステムの形成、(3)成果の大衆(有権者)への還元、として確立し、トランプ次期政権の政策プラットフォームとしても認識されている。
この株式資本主義の出発点が1988年のKKRによるRJRナビスコ買収に象徴される米国の買収ブームであった(図表4参照)。それは2000年のドットコムバブル形成に向かう株高を準備したが、今の日本に同様の動きが起きている。東証・金融庁によるPBR1倍以下の企業の是正要求、日経新聞私の履歴書へのKKR創業者ヘンリー・クラビス氏(30年前は米国でも野蛮人と言われていた)の登場など、日本の政策と企業社会のM&A受容姿勢への変化は驚くばかりである。カナダ企業であるアリマンタシフォン・クシュタール(ACT)によるセブン&アイの買収提案は、資本の効率性をないがしろにし、低株価を放置してきた日本の株式市場に大きく活を入れるものになるだろう。日産・ホンダの経営統合も台湾メーカーの鴻海による日産買収意向が伏線となっている。
またニデックが工作機械の老舗牧野フライスに対するTOBを発表したが、創業者の永守氏は「中国の脅威の前に時間はかけられない」との弁を述べた。日本は米国が進む株式資本主義に急速にシフトしている。それは海外投資家の日本株買い、企業による自社株買いを通して、異常に割安だった日本株のバリエーション革命を推進するだろう。
(了)
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