2024年、中国経済の明と暗(前)
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中国で2024年12月11日から12日にかけ、年に一度の経済活動に関する会議が行われ、座長を務めた共産党中央の習近平総書記が演説を行った。2024年の経済活動をとりまとめ、現在の情勢を分析し、2025年の活動指針を示している。
この会議で、2024年の中国経済をどのように評価したか。
発表されたコミュニケによると、経済は概ねV字回復の傾向にあり、1月から9月の四半期別に見たGDPの前年比成長率は順に5.3%、4.7%、4.6%であった。さらに10~12月は5%前後にまで回復し、年間では4.9%となり、「5%前後」という当初の目標にほぼ近くなると予想している。ただし、課題も多分に存在する。具体的には、
一、国際的な環境の変化による悪影響が深刻化。
二、国内需要の不振。
三、経営困難に陥る企業が出ている。
四、雇用や所得が思うように伸びない。
五、依然としてかなりのリスクをはらんでいる。の5点である。中国政府は、すでに掲げたGDP成長率5%という目標の達成に自信を示してはいるが、国民の実感と政府の実感にはかなりの温度差があり、その差がとくに顕著なのは消費の伸び悩みである。スーパーに人がおらず、デパートも倒産し、飲食店の1人あたり消費額はコロナ禍前の半分に減り、海外の有名ブランド店が北京や上海などから撤退し始めている。
国家統計局および北京や上海の統計局による一般消費財の小売総額のデータを見ると、11月は中国全体で前年比1.8ポイント減の3.0%であり、1~11月の累計では前年同期比プラス3.5%であった。一方、北京や上海を見ると、11月は北京では14.8ポイント減って-14.1%、上海は24.4ポイント減って-13.5%となり、ともに前年割れに転じた。1~11月の合計も、北京が-2.8%、上海が-3.1%で、ともに悪化し中国全体の平均値を大幅に下回っている。
これらを業種別に見ると、北京は11月、飲食業の売上高は減少幅が4.2%に縮小したが、このうちネットでの販売も含めた小売総額はそれまでの1.4%増からマイナス14.9%に転じた。また自動車や文化・オフィス用品などの小売額も低下傾向にある。
上海市は、商品の小売や飲食業の売上に関する具体的な数字を発表していない。小売総額を用途別に分けると、11月は「利用するもの」が30ポイント以上の落ち込みとなるマイナス20.3%、「身に着けるもの」は20ポイント下がって7.4%減であった。北京もほぼ同じような傾向で、「利用するもの」が前年比17.0%減、「身に着けるもの」が同じく2.1%減となっている。
2024年は、「中国のハワイ」と呼ばれる海南島で、海口や三亜など有名観光都市の小売品の販売額が引き続き前年割れとなった。観光客の大幅な減少や免税品販売の伸び悩みなどが原因とみられる。
以上のデータから、2024年の中国経済について、一般消費財の販売額に代表される消費が引き続き弱含みで、なかでも一線城市である北京や上海で一段と減速していることが分かる。月間ベースで見ても前年割れの傾向が見え、なかでも11月は両都市とも前年より10%以上も悪化している。この理由として、個人所得の低下や「独身の日セール」の前倒し実施などといったことのほか、現地の企業や市民の転出といった特殊な事情も影響したかと見られる。
(つづく)
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