2024年、中国経済の明と暗(後)
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中国経済に関するメディア「財新網」によると、北京や上海で一般消費財が売れなくなっている大きな理由は、ここ数年、外資系企業の中国撤退が相次いでいることで、当初の住人だった高所得者層も転出し、消費が伸びなくなったものと見ている。このような傾向はそれまでも見られていたが、2024年にそれが顕在化した。上海や北京は外国企業の幹部がとくに多いので、こうした流れによる影響度は二、三線の都市より強くなる。
また、野村中国の首席エコノミストである陸挺氏は、「一般的に言えば、購買力は若者の方が高齢者より高い。ただ景気が冷え込むと大都市で雇用が減り、改めて人の移動が進む。つまり、活躍の場を求める若者たちが北京や上海や広州から去っている」と分析している。また、経済の下押しに金融関連の汚職取り締まりなども加わって高級飲食店がかなり不況になったことも、北京や上海での消費の落ち込みの理由であるという。
2024年の中国経済について、一般消費の低迷のほか、以下2点の問題が見られた。
一、法人消費の落ち込み
社会全体の消費額のほぼ半分を占める政府や企業といった法人による消費について、個人消費の低迷により企業の売上や利益が伸びず、企業側がコストダウンに走り、オフィス関連や出張などの出費を抑えている。2024年1~10月、中国全体の文化・オフィス用品の小売総額は前年同期比-0.6%であった。また飲食関連の売上高は、北京が前年同期比-5.2%、上海が同じく-5.6%であり、企業による宴席が減ったこともその理由の一部である。
二、地方政府の財政緊縮によるインフラ投資の抑制や公共発注、公共サービス業の発展への影響。
地方政府は、基本的生活や賃金を確保し、出費を抑えるために、歳出削減を進めている一方、公務員の給与や福利厚生費も抑えていることで、公務員の消費意欲や公共サービス業の成長に支障が出ている。
中国では今、消費市場の低迷が、不動産市場に次ぐ経済後退の大きな原因と見られている。
年の瀬を迎えたなか、今度の経済会議では2025年の目標について、今回は例年の四大目標(経済成長、雇用の確保、物価の安定、国際収支バランス)に加えて「個人所得の増加」を強調している。国民に一段と実感をもたらすことを重視する中国政府の姿勢の表れである。
経済政策の基本線は、「より積極的に」といったものであり、財政政策は「積極的」から「さらに積極的」へ、通貨政策は「穏健」から「適度な緩和」へ、「国内需要の拡大に重点」から「国内需要のトータル的な拡大」へと示された。引き続き経済を回復させること、また市場の期待感や見通しを明るくすること、という中国政府の決意が十分に反映されている。
2025年の経済成長目標は、やはり5.0%前後とみられる。2035年に1人あたりGDPを倍増という目標をはたすには年間成長率を4.6%以上とする必要があるからである。
この目標の達成に向け、2025年はGDPに占める政府の財政赤字額の割合を4.0%~4.5%に引き上げるだろう。また政府は、従来型のインフラや人に関わるインフラ(教育、医療、高齢化対策)、国民生活に費やすための2~3兆元の特別国債を別途発行すると見られる。地方特別債の発行額は4.5兆元に達するだろう。
ただし、今後に対する国民の期待感を引き上げること、これが中国の消費市場回復を左右するキーポイントとなっている。
(了)
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