野原県議・次期福岡県議会議長就任に暗雲?
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多くの都道府県議会において、議長任期1年足らずで交代する慣例がある。地方自治法は正副議長の任期を「議員の任期による」(103条)と定めている。議員の任期は4年であり、議長も本来の任期は4年のはずだが、議会内の申し合わせや慣例により、1年あるいは2年となっている議会は少なくない。議長が自主的に辞表を提出し、議長選挙が行われており、決して違法ではないが、「たらい回しではないか」との批判があった。
福岡県議会においてもこれまで1年で正副議長が交代してきた。しかし、2023年5月に就任した香原勝司議長は現在も議長職に就いている。香原議長が慣例に倣わず続投したのはなぜか。
24年4月に福岡県議会が、6泊9日でワンヘルスの推進を目的に実施したアフリカ・中東視察に行ったのだが、この視察に公費が支出されたことが大問題となった。コロナ感染症など人獣共通感染症対策の必要性が叫ばれるなか、服部誠太郎知事もワンヘルスの推進を掲げており、視察自体は重要なことだ。しかし、金額の高さやドバイ行きへの批判から「炎上」した。
香原議長もこの視察に参加しており、「そのタイミングで議長を辞任することは、海外視察の問題で辞任したと受け止められることを避けるためだ」と議会関係者は語る。
本来の議長の任期を考えると当然のことともいえるが、議長ポストには待機組がおり、現議長の任期が伸びれば、後続の就任が遅れることになる。議長就任を心待ちにする県議にとっては心中穏やかではないだろう。
福岡県議会は、海外視察の見直しに向けた議会改革プロジェクトチーム(PT)を設置した。PTの座長は自民党県議団所属の野原隆士県議である。同氏は現在議会運営委員会(以下、議運)の委員長を務めており、本来なら現在議長を務めていておかしくない。
福岡県議会において、議運の委員長を務めることが次期議長職への登竜門とされている。香原議長も、香原議長の前任・桐明和久氏(元議長)をはじめとした歴代議長も議運委員長を経て議長に就任した。
つまり、野原氏の議長就任は、香原議長の続投で遅れたことになる。野原氏は海外視察の見直しについて各会派の委員と議論し、海外視察についての報告書をホームページに公表することなどをまとめ上げた。これまでの在り方を転換するのだから、そのとりまとめが大変だったのは間違いない。
そうした苦労の末、ようやく議長職に近づいたかと思いきや、次期議長は「別の県議が就任するのでは」との観測も流れている。
理由は、次期全国都道府県議会議長に福岡県議会議長が就任するとの話があり、「全国47都道府県議会の議長をまとめるには、県議会の重鎮がよいのでは」との声が自民党内にあるからだという。
議会改革に汗を流してきた野原氏の議長就任は、実現するのだろうか。
【近藤将勝】
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