「積極財政が必要」という誤り
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「現在求められているのは『積極財政』ではなく財政資金配分の抜本見直しだ」と訴えた1月19日付の記事を紹介する。
「政府はなぜ能登半島には金を出さないのに海外には金をばら撒くのか」
素朴な疑問を多くの主権者がもつ。2023年の日本政府による海外への資金協力は1兆6,244億円。そのうち2,354億円は資金贈与。この資金贈与のなかの793億円はウクライナに対するもの。
能登半島は昨年1月に大地震で被災し、9月には豪雨被害を受けた。震災発生から1年が経過したが、奥能登ではいまなお水道を使えずに避難所暮らしを続けている人が多数存在する。水道を復旧したと言っても、これは、各家庭の水道メーターまでの話。水道メーターから先の家庭内の配管が普及しなければ水道を使うことはできない。
そのために工事が要る。工事を行うキャパシティーが限られ、遠方の業者に依頼すれば工事費が膨れ上がる。海外に血税をばらまく前に能登半島の主権者の生存権を保障するのが先ではないか。
豪雨被害で多くの家屋に土砂が流入。これを取り除くのに大きな力が必要。ところが、政府は公的資源を十分に投下せずに「ボランティアが足りない」と叫ぶ。「ボランティア」は自発的に行われる支援活動で、政府が「強要」するものでない。「ボランティア」で満たせぬ部分を政府が公費で賄うのが当然。主権者は何のために税金を払っているのか。水道水を使うことは生活の根源。「水を使うこと」は「健康で文化的な最低限度の生活」の範疇に入る。土砂で埋められた住居は「健康で文化的な最低限度の生活」以下である。
海外に血税をばらまく余裕があるなら、なぜその前に日本国民の窮状を救わないのか。日本国憲法前文には「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と明記する。日本の国民が恐怖と欠乏にあえいでいるなら、政府が手を差し伸べるべきだ。
震災発生から1年が経過しても、水道も復旧されないということを異常と考えない感性。国民が恐怖と欠乏にあえぐなかで海外に国民の税金をばらまく感性。これが問題だ。
ウクライナの戦争を引き起こした最大の責任はウクライナにある。ウクライナ東部の内戦を終結させるためにミンスク合意を結んだ。ミンスク合意の核心は東部2地域に高度の自治権を付与すること。これが約束された。
東部2地域が高度の自治権を保持する場合、ウクライナのNATO加盟は消滅する。ロシアが絶対に譲れない一線がウクライナのNATO非加盟である。同時にロシア系住民支配地域におけるロシア系住民の人権擁護である。
ミンスク合意によって条件が満たされ合意が成立した。合意を国連安保理が決議し、合意は国際法の地位を得た。ウクライナがミンスク合意を順守していればウクライナ戦争は勃発していない。ところが、ウクライナ大統領のゼレンスキーはミンスク合意を踏みにじった。ドイツのメルケル元首相は、ミンスク合意はウクライナがロシアとの戦争に備えるための時間稼ぎを目的として制定されたものだったと暴露した。
ウクライナとロシアの戦争を計画したのは米国。ウクライナ戦争は米国が創作したもの。ウクライナが正義でロシアが悪との構図は成り立たない。そのウクライナに800億円物資金贈与を行った。ウクライナ戦争拡大を推進するのでなく、ウクライナ戦争を終結させるために力を注ぐべきだった。そして、米山火事に3億円の見舞金を贈る前に、能登の人々に救いの手を差し伸べるべきだ。
※続きは1月19日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「『積極財政が必要』という誤り」で。
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