今年最も高騰が予想される暗号資産「リップル」(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏今後の訴訟リスクは
リップルは20年12月、トークンを「証券として登録せずに販売した」と主張するSECから訴訟を起こされた。連邦裁判所は昨年7月、リップルが公開市場でトークンを販売した行為は、証券法に違反しないという判決を出した。だが、SECはこの判決に対して昨年10月、控訴裁判所に上訴した。しかし、暗号通貨に理解を示すトランプが大統領選で勝利したことに加え、暗号通貨に厳しい姿勢を貫いていたSECのゲンスラー委員長が退任したため、「暗号通貨に関する政策がリップル有利に働くのではないか」というムードとなった。
連邦裁判所は個人の多くがリップルを購入したのは、リップル社への投資とは認識しておらず、リップル社の努力による利益も期待していないと判断した。しかし、一方でリップル社は24年8月、資金調達に関連する証券規制違反で、1億2,500万ドルの罰金支払いを命じられている。個人と違って企業への販売は、資金調達の一種なので証券に当たるという解釈である。罰金の額は、SECが要求した20億ドルを大きく下回っていた。リップルは訴訟の問題を解決するため、尽力している。リップルが勝利すれば、リップルは高騰することになるが、リップルの証券性については不透明な状況が続きそうである
リップルETFへの期待感
SECがリップルの上場投資信託(ETF)を承認する可能性が高まっている。ETFとは、投資家から集めた資金で暗号通貨を購入し、その暗号通貨を裏付けとしてETFが発行される仕組みだ。そのETFが証券取引所に上場することで、投資家は暗号通貨の取引所ではなく、証券取引所を通じてETFを売買できるようになる。ETFの価格は、基本的にリップルの価格に連動している。リップルがETF化されることにより、投資家はウォレットや取引所の登録といった手間をかけずにリップルに投資することが可能になる。さらに、規制当局の監視下でETFが運営されるため、透明性や安全性の高い投資を実現できるのが魅力で、機関投資家も投資をしやすくなる。
リップルの上場投資信託(ETF)が承認された場合、今後6〜12カ月で最大136億ドル(約2兆円)の新規資金が市場に流入するのではないかと予測されている。このような予測がベースになってリップルが上昇しているのだ。
ステーブルコイン「RLUSD」が
リップル活用の起爆剤にリップルは、独自の米ドル建てステーブルコイン「リップルUSD(RLUSD)」をローンチすると昨年の12月16日に発表した。「RLUSD」は翌17日から世界中の取引所で取引され、売買可能になった。
「RLUSD」は、米ドル預金や国債、現金同等物で100%裏付けられたステーブルコインだ。昨年12月11日に、同社のCEOブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏は「RLUSD」がニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から最終承認を取得したことを明らかにした。リップルは「RLUSD」の完全な透明性を確保するため、監査機関BPMが実施する第三者監査による準備資産の証明結果を毎月公表するとのことだ。
今後リップル社のステーブルコインは金融機関での普及が期待されている。銀行などが暗号通貨の変動性を減らすための手段として、また実物資産のトークン化などに活用される可能性が高い。「RLUSD」は銀行と暗号通貨の橋渡しの役割をはたすだろう。現在ステーブル市場ではUSDTが圧倒的なシェアを占めているが、「RLUSD」がステーブルコイン市場に参入することで競争が激しくなりそうだ。
(了)
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