育児・介護休業法の改正
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岡本弁護士 本誌vol.45(2022年2月末発刊)で育児・介護休業についてご紹介しましたが、24年5月に育児・介護休業法と次世代育成支援対策推進法が改正され、今年4月1日から段階的に施行されますので、ご紹介いたします。
改正法は、男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、次の3点の改正をするものですが、本稿では①についてご紹介いたします。
①子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
②育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
③介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等ア 子の看護休暇の拡大
看護休暇とは、小学校就学前の子どもが病気・けがなどにかかったときに従業員が、子どもの世話をする目的で取得できる休暇です。
改正法によって、対象となる子の範囲が「小学校3年生修了まで」に拡大され、また取得事由も病気・けがなどだけではなく、「感染症に伴う学級閉鎖等」、入園式・卒業式などに拡大されます。なお、取得可能日数については、現行制度(1年間に5日、子が2人以上の場合は10日)から変更はありません。
イ 残業免除の対象拡大
これまで3歳未満の子を養育する従業員は、原則として事業主に対する請求により、所定労働時間を超える労働(残業)を免除されました。改正法によって、残業免除の請求ができる労働者の範囲が「小学校就学前の子を養育する労働者」に拡大されます。
ウ 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加
3歳未満の子を養育する従業員について、労働者が希望すれば、所定労働時間を短縮する措置(短時間勤務制度)を講じ、これが困難な業務についての代替措置として始業時刻の変更などがありましたが、改正法でこの代替措置として「テレワーク」も追加されました。
エ 柔軟な働き方を実現するための措置等(25年10月1日施行)
事業主は、3歳~小学校就学前の子を養育する従業員に関して、次の5つの措置から、2つ以上の措置を選択して講ずる必要があり、従業員は、そのなかから1つを選択して利用することが出るようになります。
①始業時刻等の変更
②テレワークなど(10日以上/月)
③保育施設の設置運営など
④就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)
⑤短時間勤務制度また、事業主は、3歳未満の子を養育する従業員に対し、子が3歳になるまでの適切な時期に、選択した制度に関する周知と制度利用の意向の確認を、個別に行わなければなりません。
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以上の通り、従前の制度の拡充や新しい制度の導入などがありますので、早めに検討されて、就業規則等の社内規程の整備や制度の周知などの取り組みが必要になります。
<INFORMATION>
岡本綜合法律事務所
所在地:福岡市中央区天神3-3-5 天神大産ビル6F
TEL:092-718-1580
URL: https://okamoto-law.com/
<プロフィール>
岡本成史(おかもと・しげふみ)
弁護士・税理士
岡本綜合法律事務所 代表
1971年生まれ。京都大学法学部卒。97年弁護士登録。大阪の法律事務所で弁護士活動をスタートさせ、2006年に岡本綜合法律事務所を開所。経営革新等支援機関、(一社)相続診断協会パートナー事務所/宅地建物取引士、家族信託専門士。ケア・イノベーション事業協同組合理事。月刊まちづくりに記事を書きませんか?
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