自動車部品メーカー2社に公取勧告 無償の設備保管で

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 18日、公正取引委員会は自動車部品メーカーである愛知機械工業(株)(名古屋市熱田区)と中央発條(株)(名古屋市緑区)に対し、それぞれ下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)違反で勧告を行った。

 公取委によると、両社は下請事業者に対し、自社所有の金型や設備を無償で保管させていたことが不当な経済上の利益提供要請にあたるとして違反認定された。

 愛知機械工業は、自動車用エンジンなどの製造を手がける日産自動車系の部品メーカー。2023年8月1日~24年12月30日にかけて下請事業者5社に対し、自社が所有する金型や治具、機械設備415個を大量発注時期終了後も無償で保管させていた。同社は、このうち261個を23年8月~24年7月にかけて廃棄または回収し、無償保管にともなう費用として総額1,925万5,498円を下請事業者に支払った。

 中央発條は、自動車用ばね製造を行うトヨタ自動車系メーカー。23年4月1日~24年10月25日にかけて下請事業者24社に対し、自社所有の金型608型を大量発注終了後も無償で保管させていた。同社は、23年9月に146型を廃棄し、無償保管にともなう費用として総額572万5,260円を下請事業者に支払った。

 公取委は両社に対し、違反行為を取締役会で確認し、再発防止に向けた研修実施や社内体制の整備、役員・従業員への周知徹底、取引先への通知を求めた。さらに、これら措置の実施結果を速やかに報告するよう指示した。

 自動車業界では、長引く半導体不足や原材料高騰などでサプライチェーン全体に負担がかかっており、部品メーカーによる不当なコスト転嫁や取引慣行が問題視される場面が増えている。今回の勧告は、そうした状況下での下請取引適正化を促す狙いもあるとみられる。

【寺村朋輝】

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