公正な兵庫県知事選不可欠

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「兵庫県議会は百条委の結論を踏まえて、再度、斎藤知事に対する不信任決議案を上程して可決するべきだ」と訴えた3月12日付の記事を紹介する。

 国政が兵庫県問題を歪めている。国政では少数与党の石破内閣が野党を一本釣りして政権の維持を図る。野党が結束して与党に対峙すれば政権交代を実現できるが、野党は結束しない。政治刷新よりも与党の利権政治に参画することを優先しているためだと見られる。

 昨年の総選挙後にいち早く自公にすり寄ったのは国民民主。これに刺激されたのか、維新も自公へのすり寄りを鮮明にした。〈103万円の壁〉よりも安上がりな〈高校授業料無償化〉をアピールして自公政権に秋波を送った。

 石破内閣は費用のかさむ103万円の壁大幅引き上げよりも安上がりの高校授業料無償化を選択して維新と予算成立のための合意を結んだ。しかし、政府予算案には〈高額療養費制度改悪〉の内容が含まれていた。維新は高額療養費制度改悪に賛成したことになる。

 国会で高額療養費改悪阻止を訴えたのは立憲民主。自民の参議院議員は、このまま進めば参戦選大敗を免れないと分析。参院自民党が石破政権の軌道修正を強く求めた。結局、石破首相は25年度の高額療養費改悪を断念。予算の再修正に応じる考えを明示した。

 石破内閣は自公に秋波を送る国民、維新、立民の三者に愛敬を振りまいて、連携の可能性を示す。国民、維新、立民を競わせて自民が主導権を握ろうとの考えだ。ただし、予算案の衆院通過で結託したのは維新。維新との連携が自公政権の現時点での基軸になっている。

 その維新が深く関与するのが兵庫県知事問題。昨年3月に県民局長が斎藤知事に対する告発文書を外部に送付。文書は公益通報に該当する可能性のあるものだったが斎藤知事を含む県幹部は誹謗・中傷文書だとして犯人捜しを実行し、県民局長公用PCを押収し、県民局長に対する懲戒処分を実行した。

 しかし、この過程で元県民局長は4月初旬に県窓口に公益通報を行った。少なくともこの時点で、県は元県民局長を公益通報者に該当する可能性があるものとして保護する必要があった。県内部では公益通報の可能性を踏まえた対応が必要との意見が提示されたが、斎藤知事、片山副知事が主導して懲戒処分を強行。これを問題視した議会が百条委員会を設置。その報告書が議会で承認されて公表された。

 この間、県議会は百条委の報告を待たずに斎藤知事に対する不信任決議を可決。斎藤知事は辞職せず、失職後に、出直し知事選への出馬を表明。11月17日投開票日の知事選で勝利した。

 斎藤氏再選のシナリオを描いた〈黒幕〉が存在する。この勢力が最大活用したのが元県民局長のプライバシー情報。プライバシー情報は告発とは無関係であり、外部に漏洩されてはならないもの。しかし、斎藤知事を筆頭とする県幹部がこの情報を入手して、これを選挙に活用するストーリーを描いたと見られる。

※続きは3月12日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「公正な兵庫県知事選不可欠」で。


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