公益通報者保護せず最悪の結末

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は昨年11月の兵庫県知事選の結果は「正当性が極めて薄い」と指摘したうえで「刑事司法当局は斎藤氏の公選法違反疑惑事案に迅速に対応すべきだ」と訴えた3月17日付の記事を紹介する。

 兵庫県知事問題について県が設置した第三者委員会の報告が3月19日にも明らかにされると伝えられている。〈第三者委員会〉という名称が付されてはいるが、その委員を誰の意向で任命したのかがポイント。兵庫県知事の斎藤元彦氏の意向が反映されているとするなら、報告内容が明らかにされる前に結果は明らかだ。つまり、〈違法とまでは言えない〉という結果が示されることになる。

 第三者委員会を議会が設置して人選するなら、議会の意向を反映するものになるだろう。議会は百条委を設置して報告書を提出した。断定していないが斎藤知事の責任を問う内容である。問題の根本は公益通報制度の運用。これが問題の根幹である。

 11月17日の選挙で斎藤氏に投票した人々は、その行為に縛られているのではないか。

 人々は
「メディアが伝えない真実を知った」
「メディアは真実を隠蔽した」
「斎藤氏追い落としの謀略があった」
 などの声を上げて斎藤氏に投票し、斎藤氏が選出された。

 しかし、その後に明らかになった情報を総合すると、さまざまな不正を含む情報を、立花孝志氏を使って流布・拡散し、選挙戦をひっくり返す策略の絵を描いた者が存在することが浮かび上がる。その〈策略〉そのままに多数の兵庫県民が行動したとの図式が見えてくる。

 斎藤氏を追い落とす利権勢力が存在するとのストーリーが語られたが、逆に斎藤氏を続投させて利権確保を狙う勢力が存在するとのストーリーも十分に打ち立てることができる。

 問題の根幹は極めてシンプルだ。県民局長が斎藤知事の問題点を指摘する内部告発を行った。方法は外部に情報を伝えるというもの。当初、県民局長は県の公益通報窓口を利用しなかった。窓口が斎藤知事の影響下に置かれていることを警戒したためと思われる。

 しかし、公益通報者保護法が定める制度は公益通報窓口を介さない通報についても同等の対応を取ることを求めている。県民局長による通報内容について県議会の百条委員会は公益通報に該当する内容を含むとの判断を示した。単なる誹謗中傷の怪文書ではない。したがって、県民局長が外部に通報を行った際に、県はその通報が公益通報に該当する可能性を踏まえて慎重な対応を示す必要があった。

 結果として百条委が当該文書について公益通報に該当する可能性が高いと判断しているのであるから、当初に県が取った対応は違法性が高く、この違法な対応が現在も維持されているということになる。

 斎藤知事を筆頭とする県幹部は直ちに犯人捜しを実行。元県民局長の公用PCを押収。この対応に違法性がなかったのかどうか。精査する必要がある。

 公用PCを押収して元局長のプライバシー情報を発見。これが県民局長への脅しに使われ続けた。県民局長のプライバシー情報と公益通報とは別の問題。県民局長に服務規程違反があったのなら、それはその問題として適正に処理をすればよい。しかし、その問題と公益通報問題とは完全な別問題である。

※続きは3月17日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「公益通報者保護せず最悪の結末」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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