【連載】コミュニティの自律経営(47)~山崎市政以降のコミュニティ政策の推移
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元福岡市職員で、故・山崎広太郎元市長を政策秘書などの立場で支えてきた吉村慎一氏が、2024年7月に上梓した自伝『コミュニティの自律経営 広太郎さんとジェットコースター人生』(梓書院)。著者・吉村氏が、福岡市の成長時期に市長を務めた山崎氏との日々を振り返るだけでなく、福岡県知事選や九州大学の移転、アイランドシティの建設などの内幕や人間模様などについても語られている同書を、NetIBで連載していく。
連載の第1回はこちら。山崎市政以降のコミュニティ政策の推移
<平成12(2000)年>
4月26日 経営管理委員会の市長への提言
「コミュニティの自律経営」が行政が目指すべき姿として描かれる。<平成13(2001)年>
10月 西助役プロジェクトスタート
12月 コミュニティの自律経営指針策定
「DNA2002計画」を受け、自律経営に向けた「地域コミュニティの取り組み」「行政の取り組み」の在り方を示した。コミュニティ政策の大転換ともいえる内容で、地域の自治組織を「市民自治の担い手と位置づけ、行政のパートナーとして連携を強化するとともに、町世話人制度についても段階的業務内容を見直していく」などとしていた。<平成14(2002)年>
1月31日 シンポジウム:「コミュニティの自律経営を目指して」開催
3月 区政推進委員会検討結果報告
「コミュニティの自律経営」に向けた施策の基本姿勢を、(1)コミュニティの活力づくりの支援、(2)市民と行政の共働の推進とし、施策展開と財政支援の基本方針および具体的推進策を示した。また、強化すべき区役所の機能として「地域コミュニティ支援機能」を挙げている。7月30日 コミュニティ自律経営市民検討委員会設置
<平成15(2003)年>
3月 コミュニティ自律経営市民検討委員会『コミュニティの自律経営推進に関する提言』
市民と行政の連携方策やコミュニティの活性化策、町世話人制度の抜本的な見直しを行う必要性が示された。『市民公益活動推進条例』の制定要請。3月 福岡市新・基本計画策定
「人・活気・自由かっ達」「九州・アジア」とともに、「自治・自律・共働」を掲げ、共働の概念を定義づけた。7月 コミュニティの自律経営推進プラン(素案)の経営会議での承認。
(1)自律経営を目指すべきコミュニティの範囲は小学校区を基本とする。
(2)自治会・町内会等の自治組織をパートナーとして向き合う。
(3)町世話人制度を平成15年度を以て廃止する。
(4)コミュニティの自律経営を促す財政支援制度の整備。
同内容について、8月の市長会見で発表。<平成16(2004)年>
3月 町世話人制度廃止
4月 自治協議会制度スタート
(1)自治協議会制度を創設
コミュニティの自律経営の基本的範囲を「小学校区」と捉え、各校区に対し、校区を運営する組織である「自治協議会」の設立を提案。
(2)校区で自主的に取り組む事業にも活用できる補助金を創設。
校区の各種団体のうち7団体に個別に交付されていた9つの補助金を一本にまとめ、新たに、自治協議会が校区で自主的に取り組む事業にも活用できる補助金(活力あるまちづくり支援事業補助金)を創設。
(3)区役所に「コミュニティの総合窓口」として地域支援部を創設。
区役所のコミュニティ支援体制を強化するため、コミュニティと向き合い、コミュニティを支援する窓口となる部署=地域支援部を設置。
(4)区の地域支援部に校区を担当する校区担当職員を配置。
自治協議会の設立・運営に関する事柄など、さまざまなコミュニティ活動を支援していくため、区の地域支援部に校区担当職員を配置した。
(5)公民館を区役所に移管し、コミュニティ支援の体制を強化。
それまで教育委員会が所管していた公民館を区役所の所管にし、区役所と一体となったコミュニティ支援が行われるよう体制を強化。6月 「市政経営戦略プラン」策定
「コミュニティの自律経営」を中心に据え、「政策推進」「財政健全化」「行政経営改革」を三位一体の市政運営の指針としたが、なぜかその中核となる「コミュニティ推進プラン」は策定されないままであった。<平成17(2005)年>
4月1日 『市民公益活動推進条例』施行
<平成18(2006)年>
10月 コミュニティ関連施策のあり方検討会設置
<平成19(2007)年>
10月 コミュニティ関連施策のあり方検討会 第一次提言
<平成20(2008)年>
10月 コミュニティ関連施策のあり方検討会 第二次提言
<平成26(2014)年>
7月 地域のまち・絆づくり検討委員会設置
<平成27(2015)年>
10月 地域のまち・絆づくり検討委員会 提言「魅力づくり」「絆づくり」「担い手づくり」
<平成28(2016)年>
3月 共創による地域づくり推進協議会設置 年に一度開催
<令和2(2020)年>
7月 共創のまちづくり推進検討委員会
<令和3(2021)年>
7月5日 共創のまちづくり推進検討委員会 報告
<令和4(2022)年>
4月1日 『福岡市共創による地域コミュニティ活性化条例』施行
(つづく)
<著者プロフィール>
吉村慎一(よしむら・しんいち)
1952年生まれ。福岡高校、中央大学法学部、九州大学大学院法学研究科卒業(2003年)。75年福岡市役所採用。94年同退職。衆議院議員政策担当秘書就任。99年福岡市役所選考採用。市長室行政経営推進担当課長、同経営補佐部長、議会事務局次長、中央区区政推進部長を務め、2013年3月定年退職。社会福祉法人暖家の丘事務長を経て、同法人理事。
香住ヶ丘6丁目3区町内会長/香住丘校区自治協議会事務局次長/&Reprentm特別顧問/防災士/一般社団法人コーチングプラットホーム 認定コーチ/全米NLP協会 マスタープラクティショナー
著書:『パブリックセクターの経済経営学』(共著、NTT出版03年)『コミュニティの自律経営 広太郎さんとジェットコースター人生』
著 者:吉村慎一
発 行:2024年7月31日
総ページ数:332
判サイズ:A5判
出 版:梓書院
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