持続可能な公共交通体系の構築へ 粕屋町が4者連携協定を締結

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4者協定締結式
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 交通利便性の高さや都市と自然とが適度に調和した居住環境などを要因として、人口増が続いている粕屋町。現在、町内各所での開発が相次ぐほか、町の魅力発信にも注力しており、2030年の国勢調査における単独市制昇格要件の人口5万人達成を目標に、町内の基盤整備に余念がない。その粕屋町が現在、力を入れている取り組みの1つが、交通事業者との連携協定を含めた持続可能な公共交通体系の構築だ。

 24年5月には、交通利便性およびまちの魅力を向上させ、粕屋町の掲げる『暮らし続けたいまち』を実現していくために、九州旅客鉄道(株)(JR九州)と包括連携協定を締結した。その包括連携協定に基づく取り組みの第1弾として、今年3月1日から3月31日の期間で、「暮らし続けたいまち」の実現に向けたPRを実施。具体的には、博多駅のデジタルサイネージや車両内ポスターなどで「意外と、近い粕屋町」のプロモーションを実施しており、博多駅から列車で約10分という利便性の高さと、ランドマークである駕与丁公園の豊かな自然などを訴求し、同町への来訪を促す内容となっている。

 そして今年2月12日には、粕屋町とJR九州、西日本鉄道(株)(西鉄)、そしてAI活用型オンデマンドバス「のるーと」の自主運行を手がけるネクスト・モビリティ(株)の4者が、「粕屋町における持続可能な公共交通体系の構築に関する協定」を締結した。それぞれが運行する公共交通の利用促進や乗り継ぎの利便性の向上、町全体の公共交通網の見直し、新技術・新サービスを活用した交通手段の検討などのほか、西鉄のバス停やJR駅などの発展的活用の検討なども含めて、4者が連携協力して取り組んでいくとしている。

 さらに2月21日には、シェアサイクルサービス「チャリチャリ」を運営するチャリチャリ(株)が、「粕屋町シェアサイクル実証実験」の運営事業者に決定。同実証実験は、脱炭素社会「ゼロカーボンシティかすや」の実現を目指し、シェアサイクル活用による公共交通の機能補完や地域の回遊性向上に取り組むもので、粕屋町の主要公共施設やJR長者原駅を含む粕屋町中心部への「チャリチャリ」のサービスエリアの拡大を25年春より予定している。

 「粕屋町における交通利便性のさらなる向上のため、AIを活用したオンデマンドバスの実証運行を開始し、町民の皆さまの多様な移動ニーズに応えるとともに、鉄道やバス事業者と連携し、将来にわたって持続可能な公共交通体系の構築を進めます」(箱田彰・粕屋町長)。

【坂田憲治】

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