志賀原発至近活断層の巨大リスク
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「現在、能登半島でもっとも活発な地震活動を示しているのが志賀原発至近の海底活断層である〈NT9〉だ」と指摘したうえで「悲劇が起こる前に原発廃炉の決断を速やかに示すべきだ」と訴えた3月22日付の記事を紹介する。
能登地方では2020年12月以降、群発地震が観測されてきた。最大震度1以上の地震は
2021年 70回
2022年 195回
2023年 241回
発生。3年間合計で506回。このなかで、22年6月に震度6弱、23年5月に震度6強の地震が発生した。
そして、2024年1月1日には最大震度7の地震が発生した。これに先立って東京大学地震研究所は2013年に「日本海地震・津波調査プロジェクト」を始動。プロジェクトは日本海側の震源断層モデルを示した。
昨年1月1日の震度7の能登半島地震後の1月22日、午後7時のNHK定時ニュースに東京大学地震研究所の佐竹健治教授が出演。能登半島北側ならびに西側海底断層に関して警告を発した。
佐竹教授らの研究グループが警鐘を鳴らしたのは能登半島北側海域ならびに西側海域海底に存在する〈NT2〉から〈NT9〉の7つの活断層(NT7を除く)のうち、NT3とNT9が1月1日の能登半島地震でほとんど動いていないことだった。
いわゆる活断層の「割れ残り」で、研究グループは今後、NT3とNT9の活断層が動き、マグニチュード7クラスの地震を発生させる可能性があることを警告した。
予言は的中。2024年11月26日午後10時47分ごろ、石川県西方沖の深さ7キロを震源とするマグニチュード6.6の地震が発生した。この地震で石川県輪島市と志賀町で震度5弱の揺れを観測。M6.6の地震は24年1月1日の能登半島地震のM7.6の地震以降で最大規模。また、本年3月19日午後1時25分頃、石川県西方沖の深さ10キロを震源とするマグニチュード4.7の地震が発生。この地震で石川県志賀町富来領家町で震度4の揺れを観測した。
東大地震研究所の調査で能登半島北側海域ならびに西側海域海底に活断層が連なっていることが指摘されている。〈NT2〉から〈NT9〉の活断層が連動して大きく動くことを警告している。
最大の問題は西側海域海底の活断層〈NT9〉が北陸電力志賀原子力発電所の至近距離に位置していること。その志賀原発敷地内には多数の断層の存在が確認されている。その断層が「活断層」であるのかについての議論が存在する。
2016年の有識者会合評価書は、志賀原発敷地内の一部の断層を「活断層と解釈するのが合理的だ」とした。この判断に従うと志賀原発は廃炉になる。活断層上の原発設置は認められないからだ。
ところが、この判断が2023年に突然変更された。原子力規制委員会が2023年3月15日の定例会合で、志賀原発2号機直下を走る複数の断層が「活断層ではない」とする審査チーム結論を了承した。
「活断層である」の判断が「活断層でない」に変更された。背景に岸田内閣の原発稼働全面推進方針があったと見られる。
北陸中日新聞が昨年7月13日付紙面に「能登半島地震残る謎」と題する記事を掲載。ところが、この記事では活断層所在地を示す地図から〈NT9〉が消されていた。
東大地震研はNT3とNT9が大きく動くリスクを警告した。ところが、図面からNT9が除去されていたのである。しかし、そのNT9に該当する地点を震源とするマグニチュード6.6の地震が昨年11月27日に発生した。
※続きは3月22日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「志賀原発至近活断層の巨大リスク」で。
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