現代銀行マン事情 横領の裏にあるネット相手の支店業績主義

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 「十八親和銀 相次ぐ行員の不祥事、顧客から9,200万円着服」という記事を掲載した。

 なぜ、相変わらず銀行員による横領事件が続発するのか。従来の認識だと横領の動機は2つしかない。(1)女性(あるいは男性)の面倒を見るための費用、(2)株への投資やギャンブルの失敗を含む借金などの穴埋めである。

 そこで筆者の知人である地場大手行OBに話を聞いた。話によると、最近はどこの企業も人間関係が希薄になったことによりガバナンス、とくに倫理面での指導がおろそかになっているという。これは理解できる。

 さらに驚くべき話を聞いた。現在の銀行における各支店の売上構成はアプリなどによるネット営業(お客さんは店舗に訪問しない)が50%、行員の外回り営業が50%だという。ところがいまだに支店ごとの業績目標というものがあって、支店の業績を上げるには外回りを強化するしかない。銀行業界といえば支店ごとの成績争いが有名であった(過去形のつもり)が、なんと今ではネットまでを競争相手として支店の業績を上げなければならないのだ。

 いつの時代の話かと思うが、これは紛れもなく令和の時代の話である。このOBは「外回り担当者の管理・ガバナンスの立ち遅れが不正犯罪を頻発させている」と説明した。拝金主義が極まった感のある、このご時世だが、どうやらお金についてのモラル崩壊も銀行員から起こっているのかもしれない。

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