【BIS論壇№ 474】日中韓外相会議
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は3月22日の記事を紹介する。3月22日、東京で日中韓3国外相会議が23年11月以来1年半ぶりに開催された。米トランプ大統領の再登場による対外高関税適用でカナダ、メキシコ、欧州などとの分断が激化。世界で高関税の報復合戦が始まりつつあるなか、世界のGDP(国内総生産)の20%強を占める日中韓の対応は世界政治経済に大きな影響をおよぼすと思われ、三国外相会談の行方が注目された。
中国からは駐日本大使も歴任。日本語も流ちょうな知日派の王毅・共産党政治局員兼外相が参加。かつてBIS名誉顧問の故・谷口誠 元国連大使、OECD事務次長が主宰された岩手・盛岡での「新渡戸稲造塾」研究会に2泊の日程で王毅大使も参加。たまたま筆者も谷口大使のご指示で講師として参加していたところより、王毅大使に会議でご一緒する機会に恵まれた。王毅外相は登山がご趣味とのことで会議後、近くの山への登山もされた。
21世紀アジアの時代にASEAN(東南アジア諸国連合)を含め、とくに日中韓の協力は米欧の分断が進みつつあるなか、非常に重要である。
21日、中韓両外相に面談の石破 茂 首相は「両国はいずれも極めて重要な隣国だ。国益に基づく現実的な外交により対話し、未来志向の協力関係を築きたい」「日中韓は地域の平和と繁栄に大きな影響力と責任を有している。少子高齢化や災害対応を共通課題に挙げ、協力が世界に向けた貢献につながる」と述べた。(『日本経済新聞』3月22日)
トランプ米政権の関税引き上げで米国や世界の景気の下振れリスクへ警戒感が高まり、アジア各国からは経済面での日中韓への期待が高まりつつある。外相会合は相互投資の拡大や経済界の人的交流の強化策などを話し会い、米政府による4月の相互関税の発動をにらみ、自由貿易の重要性を改めて確認するとみられる。
8月には、ポスト中国、インドで発展するアフリカとの経済関係強化を目指す日本政府の第9回TICAD(アフリカ開発会議)が横浜で開催される。
日本としては、アフリカに歴史的にも強力な地盤を有するインドとの協力などインド、アフリカをも含めた日中韓3国協力も検討してもらいたいものだ。
さらに日中韓三国は経済のみでなく、今後、 三国の文化、観光、健康交流にも力を注ぐことが肝要だと思われる。
その意味で、国際アジア共同体学会(会長:進藤栄一筑波大学名誉教授)が進めつつある日中文化会議(4月20日、東京・六本木)の動きが注目される。この会議には世界的に著名な日中韓の文化研究専門家10名が参加。文化を通じた日中韓文化親善交流を目指している。筆者も同学会学術顧問として、できる範囲で協力する所存である。「アジアは1つ」を唱えた岡倉天心の教えに呼応し、関係BIS会員の御協力も仰ぎたい次第である。
<プロフィール>
中川十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。
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