市場縮小の本格化を受けて 住宅大手でトップ交代が相次ぐ
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2024年の新設住宅着工は前年比3.4%減の79万2,098戸で80万戸台を割り込んだ。過去20年で2番目に少なく、1番目はリーマンショックの影響を受けた09年だ。24年着工戸数の低水準は当時のような特殊な事情がないなかでの出来事。これまで緩やかだった住宅市場縮小の本格化を印象づける。こうした状況を受け、全国展開するハウスメーカー6社が社長交代を表明した。社長人事はその時々の市場動向を強く反映するが、今回の相次ぐ動きは彼らの現状についての強い危機感の表れといえそうだ。
大和ハウス工業(株)は、大友浩嗣取締役専務が代表取締役社長に就任する。新体制では、現社長の芳井敬一氏がCEO(最高経営責任者)を続投し代表取締役会長として海外事業を、大友氏がCOO(最高執行責任者)として国内事業を担う。大友氏は住宅事業本部長に就くなど住宅事業の経験が長く、市場縮小のなかで国内事業をどう成長させていくかが当面の最大のミッションとなる。同氏は住宅事業について新築強化に加え、リフォームや既存住宅の買取再販、ニュータウン再生といったストック事業をより拡大させる方針だ。
「ヘーベルハウス」などのブランドで、都市部を中心に事業展開する旭化成ホームズ(株)では、大和久裕二取締役専務が代表取締役社長に就任する。現社長の川畑文俊氏は代表取締役会長となる。大和久氏は東京営業本部長やマーケティング本部長を歴任。同社は、社長交代について新中期経営計画の実行に向けて経営体制の刷新を図るためとしている。
戸建住宅供給で最多の飯田グループホールディングス(株)では、新たな代表取締役社長に現副社長の西野弘氏が就任する。現社長の兼井雅史氏は取締役となる。西野氏はグループの分譲ビルダー・(株)東栄住宅の社長などを務め、飯田GHDでは管理本部長などを経験。同社ではトップ交代について、経営体制の変更で企業の一層の成長と価値の向上を目指すとしている。
このほか、三井ホーム(株)では新社長に同社専務執行役員で、三井不動産(株)のグループ執行役員でもある野島秀敏氏が就任する。同氏は東京五輪の選手村事業部長などを歴任し、24年4月から現職。現社長の池田明氏は特別顧問となる。トヨタホーム(株)は同社取締役で、親会社のプライムライフテクノロジーズ(株)の代表取締役副社長でもある西村祐氏が代表取締役社長に就任する。現社長の後藤裕司氏は取締役に就任する。
なお、3月1日付けで、(株)AQ Groupの新社長に取締役住宅事業本部長の加藤博昭氏が就任した。創業者で前社長の宮沢俊哉氏は代表取締役会長となった。同社は独自工法による純木造8階建ビルを24年に竣工。加藤氏は「木造建築物で未来をつくる」という創業者の想いを継ぎながら、住宅だけでなく事業用建築物を含めた領域拡大を図り、「オンリーワンの永代ものづくり集団になる」という方針を掲げた。
なお、福岡県関連では、住設メーカーで北九州市に本社を置くTOTO(株)も4月1日付けで、新社長に田村信也取締役専務が就き、現社長の清田徳明氏は代表取締役会長となる。こうした動きから、住設機器を含めた住宅産業全体で現状への危機感が広まっていることが指摘できる。
【田中直輝】
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