立民分党で消費税減税連合創設

 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「〈消費税減税連合〉を創設して参院選に臨むべきだ」と訴えた4月19日付の記事を紹介する。

 日本経済と財政の問題が三つある。第一は日本経済がまったく成長できないこと。日本の低成長は世界でも突出している。1996年以降、30年近く、ほとんど成長していない。実質GDP成長率平均値は0.6%。ドル換算した名目GDPの低迷はさらにひどい。1995年を100として2023年の名目GDPがどれだけになったか。
中国 2416
米国 358
日本 76

 日本経済は4分の3に縮小。米国は3.6倍、中国は24.2倍に拡大した。日本経済の低迷は世界でも群を抜いている。

 第二はかつての分厚い中間所得者層が消滅して、圧倒的多数が下流に押し流された。国税庁が発表している民間給与実態調査。1年を通じて勤務した給与所得者が約5,076万人いる。日本の就業人口は約6,800万人。就業者の75%が給与所得者。この5,076万人の給与所得者の51%が年収400万円以下。20%が年収200万円以下である。年収が1,000万円を超える給与所得者は5.5%。世帯所得の中央値は1994年の505万円から2019年の374万円に131万円も減少した。

 第三の問題は、このなかで税収構造が激変したこと。1990年度の税収は60.1兆円で2020年度の税収は60.8兆円。ほぼ同じ水準だ。しかし、構成が著しく変化した。

 1990年度は
所得税 26.0兆円
法人税 18.4兆円
消費税  4.6兆円
だったが、2020年度は
所得税 19.2兆円
法人税 11.2兆円
消費税 21.0兆円

 所得税と法人税が激減して消費税が激増した。第二の分配の変化との関係で言えば、税収構造が逆に変化したなら適正と言える。

 消費税は逆進性が強い。所得の少ない人ほど負担が過酷である。所得分配で中間層が消滅して圧倒的多数が下流に押し流されたのなら、消費税のウェイトを下げるのが適正。ところが、現実は真逆。消費税が最大の税収費目になっている。そして、一般会計国税収入は2020年度の60.8兆円から2024年度の72.4兆円に激増した。年額で12.6兆円の激増だ。

 12.6兆円の自然増収。12.6兆円の増税が実行されたと言える。地方税を含めれば15兆円を超える。日本経済が低迷を続け、人々が困窮しているなら、この15兆円増税分を国民に還元すべきだ。これがれっきとした減税財源である。

 その際に重要なことは分配格差を是正すること。過酷な消費税負担にあえぐ人々を支えること。こうなれば、消費税減税の出番だ。現在の10%税率を5%に引き下げる。参議院選挙で消費税率5%を掲げるべきだ。

 この勢力が結集する。選挙協力も行う。〈消費税率5%選挙〉を実現し、消費税率5%を成就する。これが最重要の政策課題である。

※続きは4月19日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「立民分党で消費税減税連合創設」で。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

関連キーワード

関連記事