西鉄駅を擁する高宮・大橋エリアも、ここ数年地価の上昇率が顕著となっている。天神~平尾エリアでは5年以上2ケタ増が続く地点も少なくなかったが、高宮・大橋エリアはとくにこの2~4年で上昇率が高まっていった特徴がある。
平尾駅と高宮駅の中間に位置する「高宮2-10-25」(13.5%)、高宮駅から徒歩10分の日赤通り沿い「大楠1-30-26」(11.1%)は3年連続で2ケタ増となったほか、高宮駅から東に徒歩10分のきよみ通り沿い「清水1-23-11」(12.8%)は2年連続2ケタ増、高宮駅から西に徒歩6分の「高宮3-27-7」(11.6%)は初めて2ケタ増となった。周辺の事例では、賃貸マンションなどの収益物件やマンション開発用地のほか、戸建用地の売買事例も確認できた。
南区で最も価格(平米単価)が高かったのは「大橋1-14-2」の113万円。上昇率こそ2020年以降10%を下回っているものの、福岡市南部の拠点・大橋の駅前という希少な立地が評価された。大橋駅の東口駅前では、ゆめアール大橋跡の再開発により複合商業施設「OHASHI HILL」が4月18日に先行開業を迎えた。OHASHI HILLは、1階に核テナントとなる物販店舗やカフェベーカリーなど、2・3階にクリニック、4階にエステやフィットネス、5階にシェアオフィス、6階はおおはしラボや一時保育所などのテナント構成(予定)で、3~5階には87台の施設駐車場、各所に公開広場が設けられている。18日の先行開業では、屋上広場・スターパークおよび駐車場が先行して供用開始された。1階の物販店舗はじめテナント区画については、6~7月初旬の開業を計画しているという。
屋上広場・スターパークは、約1,200m2の面積に1周約50mの円形トラック、遊具、ベンチやテーブルが配置され、各所の植栽で緑化が行われる。災害時、徒歩の帰宅者に水やトイレなどを提供する「災害時帰宅支援ステーション」としても活用されるという。
施設の開発を手がけた(株)えんホールディングスの原田透社長は開業式典で、「OHASHI HILLは単なる商業施設ではなく、ゆめアール大橋の遺伝子を受け継いだ施設です。地域の方々に気軽にくつろいでいただける空間として、また近隣の教育機関と連携しながら地域活動や学生の表現の場として活用いただければ。地域の皆さまに『できてよかった』と思っていただける施設であってほしいと願っています。大橋エリアの発展に少しでも寄与できれば幸せに思います」と話した。
大橋エリアで目立ったのは「大橋2-19-3」(13.7%)で、コロナ禍の21年を除けば17年以降は2ケタ増を続けており、近年の底値だった12年比で公示地価は3倍以上となった。マンション需要の高いエリアである大橋アドレスでは、(株)アライアンス(福岡市中央区)による「CLUB THE. HOUSE大橋新築工事」、LANDICによる「(仮称)大橋3丁目計画新築工事」などのマンション開発プロジェクトのほか、柴田産業による「(仮称)アクシオン大橋2丁目新築工事」といった賃貸マンション開発プロジェクトも控える。
また、大橋駅はららぽーと福岡への最寄り駅の1つとしての側面もあり、駅の北側~竹下駅の周辺は、ららぽーと効果による地価上昇の影響も現れている。
【永上隼人】

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