日本GLPが粕屋町内2拠点目

日本GLP(株)(東京都中央区)は4月8日、福岡県粕屋町で九州初となる大規模開発「GLP福岡ICプロジェクト」を始動すると発表した。
同プロジェクトは、粕屋町で新たな産業用地としての開発が進められている「大隈西土地区画整理事業」の一環として、日本GLPがBTS型物流施設を含む複数棟を開発するもの。九州自動車道・福岡ICから約800mの距離に位置し、福岡都市圏や九州全域への広域配送に対応可能な物流拠点となる。総敷地面積約7万m2に総延床面積約15万m2の先進的物流施設を複数棟整備する計画で、うち1棟は大型BTS型物流施設としてすでに賃貸借契約が締結。残りの棟も3PL・卸・EC・冷凍冷蔵などの業種から関心が寄せられているという。2025年11月から順次着工し、28年内に全棟の竣工を予定している。
日本GLPは粕屋町内で22年4月に「GLP福岡粕屋」(延床面積約4万1,000m2/JP楽天ロジスティクス(株)が専用施設として1棟全体を利用)を竣工させており、今回のGLP福岡ICプロジェクトで町内2拠点目の物流施設となる。
なお、大隈西土地区画整理事業全体では、日本GLPの進出予定地以外に約1万7,900m2の敷地が空いているが、地場不動産関係者によると、同地もすでに水面下では事業者が決定しているという。
SGHDの中継センター・篠栗町に
SGホールディングス(株)(京都市南区/以下、SGHD)は3月27日、グループ傘下の佐川急便(株)(京都市南区)やSGリアルティ(株)(京都市南区)と連携し、九州エリアにおける物流の効率化などを目的とした大型中継センター「九州中継センター(仮称)」を新設する旨を発表した。

目される篠栗町「和田・津波黒地区」
同中継センターは、荷物の積載効率向上によるトラック台数の適正化や安定した輸送品質、自動設備導入による作業効率化などを目的として、SGHDグループが現在進めている大型中継センター建設の一環で新設されるもの。「東京中継センター(仮称)」(東京都江東区、26年7月稼働予定)、「関西エリア中継センター(仮称)」(兵庫県尼崎市、27年1月稼働予定)に続く国内3拠点目となり、周囲に分散している4拠点+2拠点の一部の中継センターを集約する計画で、延床面積は約3万5,000m2。処理能力は1時間当たり3万個で、トラックの待機時間や荷物の積み降ろし時間の短縮に加え、積載効率の改善、トラック台数の適正化などにより、宅配便ネットワークのさらなる効率化に寄与するとされている。
なお発表では、同中継センターの予定地は「福岡県糟屋郡」とだけ記載されているが、地場不動産関係者によると、篠栗町の「和田・津波黒地区」である公算が大きい。同地区は福岡ICから東に約2kmの距離にある国道201号にも近接している場所で、篠栗町の地区計画における土地利用方針は「国道201号沿道という交通利便性を生かし、流通業務施設等の土地利用を誘導する」とされている。SGHDが中継センターを新設するにあたって、まさに適地といえるだろう。
東区名子にも新たな物流施設
さらに福岡ICから北西に約1.5kmの東区名子2丁目でも現在、新たな物流施設の開発が進んでいる。

同地で開発が進んでいるのは、特定流通業務施設「(仮称)福岡センターⅧ・Ⅳ新築工事」で、開発区域面積7万2,365.95m2に、S造・地上2階建(延床面積1万9,352.93m2)とS造・地上4階建(延床面積4万9,176.62m2)の事務所付倉庫を2棟建設する計画。開発行為予定者は(株)キョーワ(福岡県柳川市)と(有)七福運送(福岡県粕屋町)のほか、伊藤忠商事(株)(大阪市北区)と吉田海運ロジソリューションズ(株)(長崎県佐世保市)の4者となっている。上村建設(株)により25年8月末までの予定工期で、土地造成等の開発工事が進められている。
● ● ●
福岡IC周辺では、24年8月に九州電力(株)などによるマルチテナント型物流施設「ロジポート福岡粕屋」(粕屋町江辻)が竣工したほか、今回取り上げたように新たな物流施設開発が順次進行。加えて周辺では、物流施設開発の受け皿となる新たな産業用地の計画も進められている。今後も物流関連施設の開発・集積が進むことで、福岡都市圏だけでなく九州全域を見据えた物流ハブとなっていくだろう。
【坂田憲治】
今後も物流施設の“受け皿”拡張を
粕屋町は、ベッドタウンでもありますが、交通アクセスに恵まれた立地を生かして、物流関連の企業集積でも成長してきたまちです。そのため町内では現在、日本GLPが進出予定の大隈西地区以外に、国道201号沿いの戸原西地区(約19.5ha)でも物流関連の土地利用を想定した土地区画整理事業を進めています。やはり福岡IC周辺は九州全域への広域配送に最適であり、物流関連企業によるニーズが高いエリアです。今後も町内で物流施設の“受け皿”の拡張を進めていきながら企業誘致にも注力し、将来の市制施行を見据えた都市基盤の整備につなげていきたいと思っています。
粕屋町長 箱田彰 氏

月刊まちづくりに記事を書きませんか?
福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。
記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。
企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。
ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)