2024年11月25日( 月 )

民主党・古賀之士氏のバックボーン(後)~戦争に勝者も敗者もなく犠牲者のみ

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所信表明する古賀之士氏=12月6日、福岡市

 父を含む6人兄妹を育てた、私からすると祖母には、仲のいい姉がいた。その姉は、戦前に結婚して家族と共に移民としてアメリカに渡った。祖母にすれば、太平洋戦争の間、姉と敵と味方に分かれるというつらい立場を経験した。私が感じたのは、生み育てた両親が、子どもを思うときに、どんなに悲しく複雑な思いに駆られたのか感じた」と語った。30年以上前、生まれて初めての海外旅行先に米国を選び、サンフランシスコに住む、祖母の姉を訪ね、初めての海外という浮ついた気分が一気に吹っ飛んだ。米国に渡った家族も強制収用所に入れられ、大変な差別をうけ、筆舌に尽くし難い苦労をしたことを聞いたからだ。

 「庶民にとって戦争は勝者もなく敗者もなく犠牲者のみであることを実感した。同じような苦労、同じような国の道のりをけっして二度と味わわせてはならない、そういう思いでいっぱいです」と訴えた古賀氏。「一家を支え続けた15歳の時から(6人兄妹の)父親代わりだった父はひと月余り前に他界した」との言葉に、党員・サポーターたちは胸に熱いものがこみあげた。

 古賀氏は、「もちろん私の家族だけではないと思う。お集まりいただいたそれぞれが戦争によって大変苦しい思いを経験され、焦土と化した国土からこの今の日本をつくりあげてこられた人生の先輩方が数多くいらっしゃることもけっして忘れてはいない」と述べ、「だからこそ、人生の先輩方が苦労する老後を送っていることも許しがたい行為なのです」と力を込めた。

七夕に「正社員になりたい」…将来不安、格差が山積み

 「この21世紀になった今でも、まだまだ身近な問題が山積している現実がある」として、ニュースを取材し伝える中でこれまで胸を痛めてきた社会問題を、母子家庭、高齢者、非正規で働く若者など、1つ、また1つと紹介。「非正規雇用の割合が4割を超え、こういうニュースをお伝えしたことがある。夏の七夕の短冊の願い事に、『正社員になりたい』。それをニュースでお伝えしなければならない時代です」と切々と述べ、こう訴えた。

 「格差がより少ない社会、努力する人が報われる社会、女性も男性もすべての方々が出番と活躍できる場所がある社会をめざしたい。安心して働き、将来に不安なく暮らせる社会を実現したい」。

 生まれ育ったふるさと福岡の経済や文化の発展の可能性を語り、「(政治という)新しい道を進むことを決めた私に、(福岡を発展させる)そのお手伝いをするチャンスを与えていただきたい」と呼びかけた古賀氏。そこには、アナウンサーの姿ではなく、31年間抑えてきた「自分の意見」がほとばしっていた。アゲンスト(逆風)の民主党からなぜ出るのかという多くの反応を率直に明かしながら、「今の政治はどうか。国民の意見を聞かないまま法律をつくる。多くの家族が抱いてきた平和への願いを無視する、物価が上がった割には給与は増えず、働く人の暮らしが苦しくなる。地方創生という言葉は聞くが、ふるさと発展の思いが軽いんじゃありませんか。今の政治を前に進めていくには民主党しかないのではありませんか」と問いかけ、「政治を変えると同時に、民主党を変える誰かにもならないといけないと思っている。皆さんの思いや願いを実現するために、その思いを国会へ届けさせてください」と呼びかけた。

(了)
【山本 弘之】

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ガンバロー三唱に臨む古賀之士氏(右から2人目)=12月6日、福岡市

 

 
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