インド視察から学ぶ、インドの時代がくる(11)インドにおける日本製品開拓に学ぶ・柴田洋佐氏②
(10)からこのシリーズがストップしていたのは、柴田氏が来福すると聞いていたので、再会を待ってこのシリーズを終えようと企画していたためである。
4月24日(金)、在福岡インド総領事館にて100名を超える経済人たちが集結した。そのレポートは近々、茅野記者が報告する。その前日の23日夕方、先だってインド視察に行ったメンバーで夕食会を行った。改めて紹介するが、柴田氏は京都出身、15年前からインドにおいて日本商品(とくに食品)普及に注力してきた。まさしくパイオニアである。さて、まずは(10)の続きを開始しよう。

まずは日本食レストランのオープンを増やす
やはり日本食の素材を短期間で増やすには、日本食レストランを増加させるのが手っ取り早い。しかし、地元インドの食は伝統あるプライドの高いものばかりである。簡単に普及は進まない。そこで現地で柴田氏のグループが経営するレストランで食事をした。メニューの主力はまだまだインド風の味付けであった。要所要所では日本の素材が活用されている。滞在2時間の間、地元のお客さんが2回転しているほど繁盛していた。
ここで確信したことがある。日本食材の普及には、かなりの時間はかかるだろう。ところがだ、レストランの現場の光景には驚いた。地元インドの方々がスタッフである。そのなかで若手の料理人・ホスト役の男性たちの目が輝き、光っていた。腹のなかでは「日本食レストランの経営をやってみよう」という挑戦の意欲を感じ取ったのである。楽しみである。
インドの中小企業は日本進出を目的に投資家を募っている
数回述べたことがある。1990年から上海周辺に進出したい中小企業の誘導をたびたび行った。目的は「安い人件費の活用」であった。月日を経て、インド側から福岡・日本へ視察にやってくる時代となった。動機がまったく違うのである。今回の東京・福岡視察メンバーの主力はベンチャー企業の経営者たちである。
「私のところで、このようなAI開発を行っている。業務提携と資金協力をお願いしたい」「太陽光のこういう分野の開発をしてきた」という。つまり、日本市場への売り込みに向けたビジネス提携と資金のタイアップ打診が目的であった。中国進出時代とは逆で、インド精鋭中小企業の経営者たちが日本市場開拓に挑戦しているのである。市場開拓にやってきたことには驚いた。
食売り込みの熱意は鹿児島県が一番
農水省が躍起になって、年間農水産物輸出額5兆円を達成させる目標を立てているそうだ。現時点では1.5兆円の実績を挙げている。ただ関係者は「残り3.5兆円を加算させることは難しい」と悲観的である。国策でなく、一県単独の施策でインドへ食料品・食材を必死で普及させようと努力している県がある。鹿児島県だ。知事も熱心で、インドへの視察を繰り返してきたという。
鹿児島県出身者、鹿児島県の地理に精通している方々は、「山ばかりの鹿児島県に食料の拠点になる土地があるかいな?」と疑問を抱くことに対し、「ごもっとも」と頷くことはできる。しかし、こう反論したい。「大隅半島には広大な農地面積があるではないか」と。大隅の地形の特色は、平野ではなく高台の大地という広大な土地がある。現にこの地域は今まで日本の食料基地として活用されてきた。近年、農業事業規模も拡大、企業化されている。
鹿児島県でインドに向けて注力しているのは果物類の品種改良であるという。着眼点は的確である。大隅半島の活性化にも役に立つ。ここはどうしても成功していただきたい。さらに人材交流にも挑戦しているという。インド人を大隅半島に呼んで、農業に従事させ、定住させるというものではない。3年から5年、農業技術を習得してから帰国し、農業生産に励んでいただきたいという話が進んでいるようだ。
アフリカの市場を忘れている
日本人の大半は無知である。「どうしてインドが短期間で経済成長をしたのか?」を自問自答する者はいない。このシリーズで「印僑」のことを述べた。「印僑」の拠点はアフリカ東部であり、インド洋に面しているところである。昔からアフリカ東部とは往来が活発だったのだ。その時代特性を生かしてインドの工業力が強くなるに従って、売り先=市場はアフリカへ向かっていった。
アフリカの貧富の格差は周知の通り。しかし、人口増は著しいし、中産階級も20%位は増加している。市場ターゲットはあったのだ。競争しなくとも売れていったのだ。いやぁ、情けない。日本人は世界を知らなすぎる。
「未来のエネルギー」と銘打った発電機売りの友人がアフリカ開拓に飛び回っている。5月の初めにはジンバブエの大統領と商談するという(この友人の報告を聞きながら、毎日地球儀と睨めっこしているから、筆者もアフリカの地図は多少理解できるようになった)。要はアフリカには市場が転がっているのだ。
最後の結論である。ぜひ、インド市場へ進出することを決断していただきたい。そうなればアフリカ進出をうかがうことも検討すべきであろう
(了)








